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突然の閉店でネットで話題になった韓国かき氷カフェ、運営会社「破産」の真相

エンポリオ、投資負担重く事業譲渡も頓挫
突然の閉店でネットで話題になった韓国かき氷カフェ、運営会社「破産」の真相

韓国かき氷は若い世代から人気を集めたが…(写真は当該店舗と直接関係はありません)

エンポリオは1985年10月に設立。輸入販売を主業として雑貨や家電品など幅広い商品を通販業者や量販店向けに販売していた。海外企業と関係を構築し、好条件で海外から商品を仕入れられる強みを生かし、2014年9月期には年売上高約36億8700万円を計上していた。

しかし、輸入販売事業で取引先の事業停止に伴い受注が落ち込み、翌15年9月期は売上高が減少。この間、14年11月以降、スペイン雑貨店「muy mucho(ムイ ムーチョ)」(後に「MUCHO(ムーチョ)」)を皮切りに、16年に韓国かき氷カフェ「SULBING(ソルビン)」、19年に揚げピザ店「IL PANZEROTTO(イル パンツェロット)」を展開し、業容の拡大を図った。

しかし、ムーチョ事業およびイル パンツェロット事業は想定の売り上げがあげられず赤字状態が続いていた。中核のソルビン事業も若い世代から人気を集めたものの、競合商品の台頭により売り上げにも陰りが見え始めるようになった。

同事業は、1店舗当たりの設備投資資金が大きく、それらの資金を金融機関からの借入金で賄っていたため、申し立て時点の借り入れ高合計は約13億4500万円と年商の2倍弱まで膨らんでいた。

資金繰りに窮する中、19年2月頃からスポンサーを探し始めたが見つからず、6月には金融機関に対して12月末までの暫定的な返済猶予を要請していた。そうした中、12月に土壇場で候補先が現れ、事業譲渡契約を締結した。

しかし、一部関係先から承継に反対の声があがったほか、ソルビン事業のライセンスを有する韓国企業から、厳しい条件の要求や承継条件へ難色が示され交渉は難航。20年1月30日まで交渉を続けるも妥結に至らず、事業継続は困難と判断。翌31日に急きょ全店舗閉店し、突然の閉店にネット上で話題となるなか、2月14日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

(帝国データバンク情報部)
日刊工業新聞2020年3月17日

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