【新型コロナ】阪大が創薬支援へデータ集約ページ公開
大阪大学蛋白質研究所の日本蛋白質構造データバンクは11日、管理する「蛋白質構造データベース」で新型コロナウイルスのたんぱく質情報を集約した特集ページを公開した。毎週水曜日の9時に情報を更新する。16万件以上の登録データから新型コロナウイルスに直接関係のある情報だけを厳密に抽出する。日英中韓の4カ国語で情報提供し、新型コロナウイルス関連の創薬研究を支援する。情報の正確な集約で研究の進展が期待される。
同データベースは実験で確定した生体高分子の3次元構造データを全世界から集めて保存する。日米欧の世界4拠点が登録と維持管理を行い、阪大蛋白質研究所はアジアと中東のデータ処理・登録を担当している。通常、登録データを含む研究論文の公開まで情報が非公開となるが、新型コロナウイルス関連の場合は研究者と個別に連絡を取り、即時公開を勧めることにした。
新型コロナウイルスの遺伝子は既知のコロナウイルスと似ている上、国際的な分類基準決定前に構造データの登録があったため、利用者が新型コロナウイルスの情報のみを抽出するのは難しかった。データベースでは登録時の検証や編集の作業で厳密な区別をしており、それを生かして集約ページを公開した。抗インフルエンザ薬の開発時のような研究の加速が期待される。
日刊工業新聞2020年3月12日