富士通の「DX」けん引する新会社、商戦にどう挑むか
デジタル変革(DX)推進で新たな船出―。富士通は9日、DXの新会社「Ridgelinez(リッジラインズ)」がけん引する“ビジネス変革”と、富士通自身のDX化に向けた“社内変革”の二段構えの成長戦略を発表した。リッジラインズの社長に就任予定の今井俊哉氏をはじめ、外部登用で富士通の経営陣に加わる4人が同日、都内で会見し、それぞれの役割を述べた。
リッジラインズは「トランスフォーメーション・デザイン・ファーム(変革創出企業)」を名乗る。客先との共創により、ビジネスを創出するDXのコンサルティングとプロトタイプ(試作モデル)の実装に注力する。富士通の製品・サービスは選択肢の一つとすることで、自律したコンサルティング会社としての価値を訴求する。
新会社は300人規模で立ち上げ、2022年度までに倍増する計画。売上高はコンサルティング料が主体となり、3年後に200億円程度を見込む。DX案件の獲得による富士通グループ全体への波及効果としては「リッジラインズの売上高の5―10倍(1000億―2000億円)を見込む」(今井氏)。
リッジラインズは富士通色に染め上げる従来型のビジネスとは一線を画し、外部人材の登用で新しいDNA(遺伝子)を取り込む。マイクロソフトやアマゾンなどの海外ベンダーが提供するクラウド基盤なども活用し、DX商戦で競うアクセンチュアなどの外資系コンサルティング会社や新興勢力と伍(ご)していく。
同時並行で富士通は主力のソリューション・サービス事業のグローバル化を加速し、リッジラインズでの成功事例をレファレンス(参照モデル)として、富士通本体のDX化につなげる。
今井氏は「プロフェッショナル集団にふさわしい報酬体系や客観的な評価制度などにより、実行力を高めたい。“未来を変える、変革を創(つく)る”が新会社のビジョンだ」と抱負を述べた。
富士通で最高情報責任者(CIO)兼最高デジタル・トランスフォーメーション責任者(CDXO)補佐を担う福田譲氏は「データドリブン(駆動型)時代のビジネスのあり方を自ら実証し、顧客に示したい」、最高マーケティング責任者(CMO)となる山本多絵子氏(同左から2人目)は「マーケティングにサイエンスを取り込む」と意気込みを語った。M&A(合併・買収)戦略担当となるニコラス・フレーザー氏(同右)は「M&AをDXを加速させるツールとしたい」と意欲を示した。