富士通「ローカル5G」参入、新設コラボラボの中身
富士通は第5世代通信(5G)をエリアを限定して利用する「ローカル5G」事業に参入する。2020年2月以降に、ローカル5Gを導入するユーザーの課題を解決する実証の場として「コラボレーションラボ」を開設。第1弾として、ネットワーク事業の中核拠点である「富士通新川崎テクノロジースクエア」(川崎市幸区)に同ラボを設置し、その後、ネットワーク機器を製造する子会社の小山工場(栃木県小山市)にも広げる。
24日に免許申請を行う予定。免許を取得でき次第、20年2月以降にコラボレーションラボを開設する。
ローカル5Gを主要拠点で社内実践し、そこで得たノウハウやユースケース(活用事例)を基に、ローカル5Gを導入する企業や自治体からの要望に応える。通信事業者の基地局向けで培った通信技術を強みとして、上流のコンサルティングからアプリケーション(応用ソフト)開発や運用までをシステム構築(SI)業者として総合的に請け負う。
社内実践をショーケースとして、主戦場となる製造業や地域自治体向けに加え、病院や建設など幅広い分野への提供を検討し、デジタル変革(DX)の支援につなげていく。
具体的には、インフラ提供にとどまらず、データの可視化も含め分析・利活用に踏み込むことで、例えば製造業向けではデータの“地産地消”を深耕する。
小山工場では生産ラインの品質チェックに用いる予定。同工場では、ウェブカメラで撮影した映像を人工知能(AI)で画像診断し、異常検知を自動化する仕組みなどをシステム化する。
これに骨格の動きを可視化する独自技術を組み合わせることで、作業者がいつもと違う動きをしたり、本来行うべき動きが抜けたりしたら、即座にアラームを出して品質検査を徹底できるという。
ローカル5Gならば大容量の映像データでもリアルタイム送信が可能。映像の解像度が上がるため、AIによる画像診断の精度も向上する。
またローカル5Gで割り当てられる28ギガヘルツ帯は工場内を飛び交うWi―Fi(ワイファイ)とぶつからず、既存の無線環境を変更せずに新たな仕組みが試せる。ローカル5Gの活用に向けて、イーサネットやUSBを接続できる専用端末も開発する計画だ。