東芝機械が汎用型工作機械の買収・提携検討、背景は?
東芝機械は工作機械事業の再編案をまとめた。2023年度までに汎用型の工作機械部門で同業の買収や提携を検討。生産数量をまとめ価格競争力を高める。強みの大型機や特殊機、超精密機には開発費など経営資源を集中する。同時に生産体制を見直し、静岡県沼津市と同御殿場市での生産を御殿場に集約する。再編案をテコに、工作機械事業の売上高を23年度に19年度比約2割増の340億円に増やす。
汎用機の売上高は工作機械事業の6割を占める。だが、立旋盤やマシニングセンター(MC)、横中ぐりフライス盤などの汎用型は競争環境が厳しく、量産や生産体制の変更によるコスト削減が必要とみる。単独では限界があるとして同業の買収や提携の実現を目指す。候補企業を複数社挙げ、具体的な検討に入った。
東芝機械は23年度までの中期経営計画で、現状5%にとどまる株主資本利益率(ROE)を8・5%に高めるなど低収益体質からの脱却を狙う。今回の工作機械事業の再編案は同計画の一環。
また5日、30年度までの長期経営計画を発表。ROEを10%以上に引き上げることなどを盛り込んだ。同日、取材に応じた坂元繁友社長は「日本の優良企業の平均を上回る値を出したい」と企業価値向上に意欲をみせた。
長計は企業統治体制の強化も掲げる。指名諮問委員会は「飯村幸生会長兼最高経営責任者(CEO)が委員長を務めていて批判がある。独立社外取締役が就くよう検討を始めた」(坂元社長)。独立社外取だけで構成する会合を定期開催し、経営計画の進行を確認するようにする。
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日刊工業新聞3月6日