メガネかけたままメガネを試着!?JINS新サービスの中身
買い物に楽しさ・利便性
<最先端技術活用>
ジンズが、最先端技術を活用した販売に力を注いでいる。中核拠点となる次世代型店舗では、眼鏡をかけた状態でのバーチャル試着やコンタクトレンズを自動販売機で手軽に購入できる新たなサービスを提供している。価格の安さや機能性の高さといった製品自体の魅力に加えて、買い物の楽しさや利便性を訴求することでブランドの魅力をさらに高める効果が期待される。
2019年11月にリニューアルした東京都渋谷区の大型商業施設「渋谷パルコ」。ファッションだけでなく、文化や芸術などさまざまな分野で最先端の技術を導入したテナントが集結する。
「JINS渋谷パルコ店」もそうした店舗の一つ。通常の店舗より小型ながら、「世界で初めて」(向殿文雄CX戦略本部本部長)と自負する「MEGANE on MEGANE(メガネ オン メガネ)」が注目を集めている。
「メガネ オン メガネ」は、度数が強い視力矯正眼鏡を装着している人を想定したサービス。普段の眼鏡を外すと「自分の姿が見えなくなる」といった悩みやストレスを解消するため、バーチャル試着が可能な装置を設置している。
顧客が眼鏡をかけたまま装置の前に立ち、指定の場所に試着したい商品を置くとスキャンされる。さらに深層学習を活用した画像生成技術によってかけているはずの眼鏡が顔から消え、試着したい眼鏡をかけた自分の姿が画面に映し出される仕組みだ。
<リアルに再現>
眼鏡をかけていない状態でも、同様に眼鏡が装着された姿を確認できる。また顔を横に向けると横向きの映像にすぐさま切り替わりテンプルが映し出されるなど、装着した姿をリアルに映し出す。
装置には、人工知能(AI)が購入者に似合う眼鏡を点数で判定する「JINS BRAIN(ジンズ・ブレイン)」機能も搭載している。“似合い度”の確認という購買行動のプロセスも楽しめるサービスと言えそうだ。
この店舗ではもう一つ新たな試みがある。短時間で手軽にコンタクトレンズを買いたい顧客の声に対応した自動販売機「TOUCH&COLLECT(タッチ アンド コレクト)」だ。ジンズの公式アプリかLINEのJINS公式アカウントで必要な情報を事前登録すれば、スマホをかざすだけで使い捨てコンタクトレンズ「JINS 1DAY」を購入できる。
開業から約3カ月。「反応は上々」(同)と、顧客の数や満足度に十分な手応えを感じている。このため「新型店舗のサービスをいかに横展開するか」(同)と話すように、同様の店舗を設置する時期や範囲が今後の検討テーマとなる。
<新たな購入体験>
戦略の柱として「プロダクツ」「エクスペリエンス」「データ」の三つを掲げるジンズ。新たな市場を作り出したこれまでの機能性商品に続き、顧客に新たな購入体験を提供するこれらのサービスが、さらに大きなニーズを掘り起こす原動力になるかもしれない。(群馬支局長・古谷一樹)