患者の負担を減らす放射線がん治療。装置各社はニーズを取り込めるか
日立や東芝は海外有力企業と提携し国内市場の開拓へ
今後は外科、化学、放射線「併用治療」が主流に
海外メーカーも日本市場に熱い視線を送る。米アキュレイのジョシュア・レヴィン最高経営責任者(CEO)は「日本での売上高は25―30%成長を見込む。稼働台数は17年までに100台に高める」と宣言する。同社のグローバル売上高は約4億ドルで、日本市場は現在約12%を占める。
日本では現在約1000台の放射線治療装置が稼働し、年間100台近い新設・更新需要が発生する。これまで同社が提供してきたハイエンド機種は大規模施設での利用がほとんど。国内シェアはまだ約8%で、「小規模施設やクリニックを開拓できていなかった」(レヴィンCEO)という。そのため、機能を絞り込み、価格を従来機種の半額程度に抑えた新機種を年内にも投入し、未開拓分野を攻める。
放射線治療は他の療法に比べ身体の機能・形態の欠損が少なく、患者負担を低減できる。早期の社会復帰も可能で、治療負担が大きい高齢者にも向くことから、今後国内でも治療を受ける患者が増える。10年後には日本でも治療実施数割合が50%に高まるとの推測もある。
また、がん治療は外科療法と化学療法、放射線治療がそれぞれ単独ではなく、併用治療が今後の主流になるとも言われており、遅れていた放射線治療分野の伸び代は大きく残されている。
(文=宮川康祐)