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お客は「親友!」メルマガ経由で売上の6割を稼ぐワインECサイト

文=尼口友厚(ネットコンシェルジェ CEO)「Vinomofo」のマーケティングの極意

強力なコミュニティを地盤にした販売とマーケティング


 現在「Vinomofo」は自社でセレクトしたワインを2~3日以内の期間限定で割引販売するという手法を採用。“あらゆる国の最高のワインにアクセスできる”というのが売りで、市場価格より50%~70%も安く購入することができるそうだ。

 ワイン業者にとって、消費量の多いワイン愛好家に商品を届けられる意味は大きい。大幅な値引きをする価値がある、というわけだ。そのため、「Vinomofo」での取り扱いを望むワイン業者は多いが、審査を通過して販売に至るものはたったの2%。こうして「Vinomofo」は品質の高い状況を維持しているのだ。

 ワイン愛好家にとってはこのような厳しい審査を通過した良質なワインを半額以下で楽しめるとあって、サイトへの支持はどんどん強化されていく。

「顧客は親友」


 また「Vinomofo」は、顧客との信頼関係を築く姿勢をマーケティングなどでいかんなく発揮している。たとえば、エークメーアー氏はメールマガジンを配信しているが、その際単なる「商品を買う」顧客ではなく、親友に向けたメールマガジンを書くつもりで執筆しているという。

 そうなると、トリックを使ってだますようなことは書けないし、ワイン選び、販売方法にもかなり気を遣うようになる。形式的な文章ではなく、ユーモアのある文章を書くこともつながるようだ。たとえば、ECサイトが停止したときの謝罪メールの文面はこのようなものだったそうだ。

 <金曜日の午後というのはサボリがちになるもんだけど、僕たちのサイトも一緒みたいだ。どうやら「Vinomofo」は一気に大量のワインをさばくことができなかったらしい。それとも単に欲張りで、ワインを自分用に取っておこうと考えたのかな。もしWebサイトに命が宿ってワイン好きの生き物になったとしたら、きっと「Vinomofo」みたいなやつになると思うよ>

 また顧客が正しくない非難をしてきたと思ったときには、リスペクトした上でしっかりと間違っている旨を指摘。自分たちに非があったときには、隠さず伝えるようにしている。こうした誠実な対応を行うことで、「Vinomofo」は顧客に支持されるサイトになっていったのだ。

 現在「Vinomofo」の売り上げのうち、60%がメールマガジン経由。フラッシュマーケティングの手法が多くのメディアサイトに取り上げられているが、それだけでは同サイトの強みは説明できない。強力なコミュニティとの信頼関係、そして関係を築くためのさまざまな努力あってこその成功だったと言えるだろう。

 「マーケティングは良い商品、良い顧客体験ありきで実施されなければならないんだ。そうでなければただのトリックでしかない。顧客と正直な関係を築くことが大切なんだ」(エークメーアー氏)。

 アンドリュー・メイソン氏も当初はこのような世界をイメージしてグルーポンを立ち上げたのかもしれない。フラッシュ・マーケテイングの正解は、オーストラリアにあったのだ。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
フラッシュマーケティングは信頼という基盤があれば実に効果的に活用できるよい事例。メルマガは信頼を得る上で大事なコミュニケーションになっているが、最近は手触り感のあるアナログな「手紙」やDMが意外と効果があると聞く。

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