飛行士に強い味方、宇宙で網膜診断できる小型装置
窪田製薬ホールディングスと米航空宇宙局(NASA)、および長期宇宙旅行時の人体へのリスク軽減の研究開発を目指す共同事業体TRISHは、超小型眼科診断装置「Swept Source―OCT」の試作品の操作デモを実施した。宇宙空間でも網膜を計測できる装置として窪田製薬ホールディングスの子会社アキュセラ・インクが開発中で、操作性や計測スピードなどが確認できた。今後さらなる改良を続け、実用化を目指す。
双眼鏡に似た見た目で、のぞくだけで網膜を計測できる。デモでは、計測したい人が1人で、また数分で計測できることが確認、評価された。一般的なOCTで計測する場合、装置の立ち上げから計測終了まで90分かかるという。また、機器を操作する人の立ち会いが必要不可欠だ。
窪田製薬ホールディングスの窪田良社長は「現在、宇宙飛行士は、数カ月の長期滞在で3回しか計測できないと聞いている。毎日刻一刻と発生する目の状況をこまめに確認し、疾患を予防してほしい」と話している。
宇宙では視神経が部分的に腫れるなどの症状が現れる神経眼症候群「SANS」になりやすい。視神経の状態を診断しやすい装置を開発できれば、予防や治療に活用できる。
日刊工業新聞2020年2月18日