142年の歴史を誇る扇子業者の倒産、五輪で挽回狙うも金融機関が「もう支援は無理!」

新京清堂、百貨店で売り上げ急減

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写真はイメージ

新京清堂は、1877年に創業した前身企業の営業基盤を引き継ぎ、2003年11月に設立。大手百貨店をはじめ、専門店や大型量販店向けに各種扇子の卸売りのほか、本店店舗での小売りを手がけてきた。

自社で企画開発したブランド品「クロッカス」を主力商品に、ライセンスブランド品やOEM(相手先ブランド)供給品など低価格品から高級品まで幅広い扇子を取り扱っていた。高級品は国内の専門業者に、中級品以下は中国の提携工場に生産を委託し、省エネブームとなった東日本大震災後の12年11月期には年売上高約6億6800万円を計上していた。

しかし、14年以降、百貨店での売り上げが減少。このため、百貨店以外の専門店での販売やOEM生産の拡大を図るなど収益の多角化に努めた。さらに従業員のリストラを行うなど経営の立て直しを図ったが、18年11月期には年売上高約2億3400万円まで減少し資金繰りが悪化していた。

このため、以前から同社の在庫保管を委託していた取引先から支援を受けることとなった。支援先に対し在庫の半分を売却することで資金繰りの改善とともに、残り半分の在庫販売やOEM生産の強化により業務を継続、東京五輪・パラリンピックで期待される外国人観光客需要を取り込むことで再建を図る予定だったが、事態が一変する。

金融機関に対する返済猶予要請が受け入れられなかったことに加え、金融機関が同社の在庫に譲渡担保権を実行し、差し押さえおよび処分禁止の仮処分を行ったことから在庫を売却することができず、販売計画に狂いが生じた。

また、支援先からの支援も打ち切られ昨夏もほとんど売り上げを上げられず、19年11月期の年売上高は約1924万円と激減、大幅な赤字決算となった。今後も回復の見込みがないことから、19年12月12日に東京地裁へ自己破産を申請し、前身企業から数えて業歴142年の歴史に幕を閉じることとなった。

(帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2020年2月18日

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