ニュースイッチ

IoT家電はどう売るか?説明員の鉄則とは

IoT家電はどう売るか?説明員の鉄則とは

「お客さんの話を聞く比重が高くなってきた」と安田課長

インターネットとつながった「IoT(モノのインターネット)家電」。従来の家電は「画素数」などハードウエア的特徴を列挙する説明で良かった。しかしIoT家電は利用履歴に応じたサービスを提供する。「お客さんの話を聞く比重が高くなってきた」。シャープ・ココロ・ライフ(大阪府八尾市)ココロソリューション開発部課長の安田一則(41)はこう指摘する。

同社はIoT家電強化のためシャープが2019年10月に新設した子会社。安田はシャープがIoT家電事業を始めた時から商品企画に在籍し、一般消費者や協業企業などと接してきた。

鉄則は「(客の)一番困っていることを聞き出すこと」(安田)。家電とつながったクラウドには困り事を解決する“引き出し”がそろう。それを提示できれば限られた時間でIoT家電の良さを実感できる。「はじめの一歩をお客さまからもらう。特にIoT家電の説明では重要だ」(同)。

【視覚に訴える】

安田は今、人工知能(AI)とIoTを合わせた家電の社内セールス研修なども担当してる。全国主要10拠点約700人の営業部隊を相手に、説明資料にも工夫を凝らした。当初は「製品のIoT化による進化のステップ」と題し、業界動向や差別化戦略などを羅列した。だが製品自体の良さを訴求できず、営業マンから「分かりにくい」と一蹴された。

そこで身の回りにあるスマートフォンを例に取り、AIの役割をロボットになぞらえた模倣図を作成。視覚的に腹落ちできる資料に変えた。営業部隊も展示会などでIoT家電がどう生活を変えるか説明しやすくなった。

【対話型猛勉強】

説明技術で参考にした書籍は『伝え方が9割』(佐々木圭一著)。対話型IoT家電への話しかける方法を考えていた時に出会ったが「自分のしゃべり方も変わった」(同)。IoT家電の説明ではネット環境が必須だ。スマートフォンにはWi―Fiの混線状況が分かるアプリを入れて、常に通信状況を確認している。(敬称略)

日刊工業新聞2月18日

編集部のおすすめ