CO2削減コストは1年間に1000兆円かかる、NEDOが試算
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、二酸化炭素(CO2)排出量を2050年時点で実質ゼロにするために年間約400億トンの削減が必要とする報告書をまとめた。さらに同量のCO2を減らす際、従来技術の活用だけでは毎年1000兆円規模のコストがかかると試算。コスト削減にはイノベーションを起こすような革新的技術の開発が必要とした。
NEDOは持続可能な社会の実現に向けた技術開発のあり方や目指すべき方向性などを示した「持続可能な社会の実現に向けた技術開発総合指針2020(NEDO総合指針)」を策定した。50年を見据え、NEDOが技術開発内容を把握できCO2削減効果を試算できる革新技術を選定。各技術に対し、革新技術導入で期待するCO2の削減量「CO2削減ポテンシャル」と、CO2排出量を1トン削減するためにかかる費用「CO2削減コスト」を試算した。
次世代太陽光発電分野では、超軽量や高効率の太陽電池の出現により50年時点で建物壁面や農地、車載などでのCO2削減ポテンシャルが48億トンとなることが分かった。さらに30年に建物側壁や車載の市場への導入が始まり、技術開発や量産効果でCO2削減コストが低下することを示した。
NEDOの矢部彰技術戦略研究センターエネルギーシステム・水素ユニット長(写真)は「非連続なイノベーションがCO2削減に貢献する。コスト削減につながる技術開発に取り組みたい」と強調した。
日刊工業新聞2020年2月17日