工場の現場改善したら賞与アップ、富士電機が新人事制度
富士電機は技能系社員向けに、工場での現場改善活動にインセンティブを付与する人事評価制度を2020年度から導入する。従来は職種ごとの習熟度を報酬の評価基準にしており、現場改善や合理化の成果を適正に認める仕組みがなかった。国内工場が今後直面する人手不足などの課題を先回りし、現場の生産性向上をさらに加速させる。
富士電機が今春導入する「ものつくりマイスター制度」は国内工場で働く技能系社員が対象となる。一定水準以上の業務が遂行できる能力が前提となり、上長の推薦を受けた上で「ものつくりマイスター」に認定される。
認定者は現場改善や合理化に関する定量的な目標を作成し、半期ごとにその進捗(しんちょく)を評価して賞与に反映する。それにより、賞与が最大で従来比約3割増額される場合もある。20年12月の賞与から同制度を適用する予定。
従来の制度は金型や組み立てなどの職種ごとに複数段階の習熟度を設定し、毎年それぞれの機能や品質、コストなどの習熟度を評価して報酬に反映させてきた。これまで自主的な現場改善などを行っても人事評価に直接つながらなかったが、今回の新制度導入により各自の頑張りを適切に処遇することで、現場の活性化を促進する狙いがある。
同制度の認定候補者数は技能系全社員の約15%を想定し、ものつくりマイスターから各現場・工程のリーダーである作業長に昇格する流れを目指す。工場でのキャリアプランを描きやすくなり、仕事満足度も高まりそう。
富士電機は19―23年度の現中期経営計画で「持続的成長に向けた経営基盤の継続的な強化」を掲げ、特に「社員の活躍推進」「人財の育成」「人財の適正配置」に取り組んでいる。今回の新制度もその一環と言える。
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日刊工業新聞2020年2月14日