パナソニック、キヤノン、ダイキン…環境技術の解放が相次いでいる理由
パナソニック、キヤノン、ダイキン工業などが相次いで国連機関が主導する環境技術の普及活動「WIPO GREEN(ワイポグリーン)」のパートナー企業となり、保有技術を公開した。2019年11月末まで日本企業の登録は富士通と帝人の2社だったが、2月7日までに8社増えて合計10社となった。各社は技術を開放し、他社に活用してもらうことで環境問題の解決に貢献する。
ワイポグリーンは国連の世界知的所有権機関(WIPO)が13年に設立し、運営している。パートナー企業が環境技術を登録して公開し、活用したい企業などとマッチングを行う場だ。米IBMや独シーメンスなどがパートナー企業となっている。
3社目の日本企業としてコニカミノルタが19年12月に参画し、太陽熱発電や色素増感太陽電池関連の技術24件を登録した。20年1月末までにパナソニックがプラズマ放電による水浄化の特許25件、キヤノンが植物由来プラスチックやリサイクルの技術28件を登録した。
まもなくダイキン工業が温暖化の助長を抑える冷媒「R32」を使った空調機の製造・販売に関する特許180件を登録する。19年7月に無償開放して採用先を募っているが、他社が見つける機会を増やそうとワイポグリーンに参加した。
他に日本から日立製作所、ホンダ、住友電気工業、豊田自動織機が新たにパートナー企業となった。全体のパートナー数は19年11月末時点の90社・団体が102社・団体へ増加し、日本勢が押し上げた格好だ。
各社とも他社にも技術を活用してもらうことで、知的財産による持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献できる。開発したものの実用化できていない休眠特許の登録も多く、公開によって開発成果を有効活用できる。
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日刊工業新聞2020年2月12日