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10年後には「高齢者の5人に1人が認知症」という時代へ

今日は世界アルツハイマーデー。日本でも喫緊の課題に

治療法のない病気を患ったら知りたいか?


 2014年にGEヘルスケアが実施した調査では、「治療法が確立されていなくてもパーキンソン病やアルツハイマーなどの神経疾患を患ったら病状を知りたい」と答えた日本の回答者は、身近な人が患った場合で71%、自身の場合で66%(いずれも全日本人回答者に占める割合)。グローバル平均の81%(身近な人の場合)、74%(自身の場合)を大きく下回るものの、知りたいと考える人たちは病状の正しい情報を得ることで適切な対応をしたいと望んでいることが伺えた。

 医療業界、学術機関、法制面、地域コミュニティ、個人など多面的アプローチの重要性

 先に記したスチグマ(偏見。恥辱、不名誉を与えること)が、自身や身近な人の罹患を受け入れ難くしていたり、周囲に伝えることができないために適切なケアから遠のけてしまうケースを生んでいることも事実。治療法の確立を急ぐ一方で、社会問題としての認知症への対応には、国から個人まであらゆるレベルで多面的なアプローチが必須だ。

 厚労省は国家戦略「認知症施策推進総合戦略(通称:新オレンジプラン)」を今年1月に発表。介護者への支援や地域の在り方を含めた省庁横断的な取り組みに乗り出した。15年度末までに早期に診断できる方法を確立し、20年ごろまでに根本治療薬の治験を始めるという。また、発症間もない段階での発見と対応につなげるため、歯科医師や薬剤師らへの研修も新設されたほか、理解の普及・啓発や介護者支援など、進行中のものを含め様々な具体的計画が挙げられている。

 法制面からのアプローチも今後より広範に

 他方で、認知症をもつ自動車ドライバーの事故が相次いでいることを受けて成立した改正道路交通法も2017年6月までに施行される。75歳以上の運転者の免許更新時、検査で認知症の疑いがもたれた場合、医師の診断を義務付け、認知症と診断された場合には免許を取り消し・停止する内容。こうした法制面からのアプローチも、今後より広範に進められる。

 認知症は、日本だけでなくやがて高齢化が進む他の国々においても重大な課題となることは間違いない。「GEは2010年から2020年の10年間で、脳疾患の分野において500億ドル以上の投資を行うことを決めている。またGEヘルスケア・ジャパンも、2014年から弘前大学や青森県等とともに、アルツハイマー病を中心とする脳疾患の予兆発見および予防法創出のための共同研究プロジェクトも行っている」(若槻氏)。

 10年後、高齢者の5人に1人が罹患するという率を考えると、認知症は誰にとっても接点や関与を持ちうる問題。各個人が認知症への関心と理解を深め、それぞれの立場で何ができるかを考えておくことが、社会問題の深刻化の抑止力になるはずだ。

※脳の認知機能が正常よりは低下しているが、認知症のレベルには至っていない状態
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
程度にもよるが5人に1人はなかなか重い数字。少しだけポジティブに考えると、失われつつあるコミュニティを再生させるきっかけになれば。

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