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マヨネーズはもう脇役じゃない、キユーピー社長「食の主役化の元年を目指す」

キユーピー社長・長南収氏インタビュー
マヨネーズはもう脇役じゃない、キユーピー社長「食の主役化の元年を目指す」

キューピー公式フェイスブックページより

―2019年は創業100周年でしたが、総括してください。
 「次の100年を見据えたグループの長期ビジョンを策定し、タマゴとサラダを通じて健康・長寿を応援していく姿勢を明確にした。タマゴの良質なたんぱく質とサラダに含まれる食物繊維・ビタミンなどで長寿社会を支える。業績としては7月の長雨で野菜が高騰するなど厳しい状況もあったが、その後は回復傾向になった。10月の消費増税は軽減税率により影響はほぼなかった」

―20年の景気動向をどうみていますか。
 「東京五輪・パラリンピックが開催されるが、押し上げ効果は一時的なのではないか。国内市場は少子高齢化が進行し、この傾向は変わらないだろう。国内に依存するのは限界があり、海外への展開をさらに強化する」

―マヨネーズなどの調理・調味料中心から高付加価値化を目指す「食の主役化」への進捗(しんちょく)は。
 「20年は『主役化の元年』を目指す。マヨネーズやドレッシングが食卓の名脇役だったが、これに当社のタマゴ事業とサラダ・惣菜事業を組み合わせ、食卓の主役として新たな提案を下期には打ち出したい。国内の高齢者・単身世帯は増えており、食事メニューを考えたり、食べ物が残ったりするストレスも多い。こうしたニーズにも対応したい」

―西日本向け新拠点「関西キユーポート」(兵庫県伊丹市)が近く稼働します。
 「卵加工品と惣菜の生産を軸として集約・合理化した拠点だ。割卵から加工まで一貫生産体制を整える。生産機能だけでなく、当社グループ各社の営業部門なども入居する。新たなモノを生み出すシナジーを期待する」

―海外展開の加速を打ち出していますが、計画は順調ですか。
 「中国と東南アジアを中心に海外事業強化を進めている。ただ売上高で2ケタの伸びにはなっていない。マヨネーズと深煎りごまドレッシングの二つを世界戦略商品に位置づけて拡販する。中国市場はまだまだポテンシャルは大きく、広東省広州市に4カ所目の新工場が稼働する。さらにタイ、インドネシア、フィリピンなどで展開を強化する」

キユーピー社長・長南収氏

【記者の目/調味料「食の主役化」目指す】
 少子高齢化が進む国内市場では先行きの大きな伸びが見込めない。キユーピーは調味料などの脇役から高付加価値に転換する「食の主役化」を目指す。潜在ニーズを顕在化させるような提案を打ち出せるかが注目される。一方で海外事業の拡大が成長エンジンとなる。海外比率は9%強ほどで、これを2ケタに引き上げる方針。(編集委員・井上雅太郎)

日刊工業新聞2020年1月30日

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