“腐らない”ジルコニウム 生体デバイスの普及を加速するか

物材機構が材料処理技術を開発

物質・材料研究機構の堤祐介主席研究員や東京医科歯科大学の塙隆夫教授らは、医療用デバイスなどへの応用が期待される金属「ジルコニウム」の生体内での腐食を抑える材料処理技術を開発した。金属試料表面に存在し腐食に関わる不純物に着目。電気化学的な表面処理を材料に施すことで不純物を取り除き、塩分を含む環境で腐食を抑えられることを明らかにした。ジルコニウム材料の耐食処理技術としての利用が期待される。

ジルコニウムはチタンと同族金属でよく似た性質を持つ。チタンより低磁化率であるため、磁気共鳴断層撮影装置(MRI)画像で歪みを起こしにくい。さらに骨と付きにくいため、すでに人工関節などで市場投入されている。だが塩化物イオンと反応して腐食することが課題となっていた。

金属試料表面の腐食の原因は金属中の不純物にある。不純物があるとその下にバリアーとなる「不働態皮膜」を作れず、腐食が進む。そのため不純物を除去することが求められている。

研究グループは、縦10ミリ×横10ミリ×厚さ1ミリメートルのジルコニウム板を準備。試料の表面を研磨した後、電気化学的な表面処理を施した。その後、37度Cの生理食塩水中に金属板を入れ、耐食性を評価した。

表面処理した金属板では耐食性を高める電位が未処理の材料に比べ1・29ボルト上昇し、表面処理で不純物が除去されたことを明らかにした。さらに表面処理で穴の拡大が抑えられ、穴の内部の中性環境を維持することで不働態皮膜を修復できることが分かった。

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小川淳
デジタルメディア局
編集部部長

団塊の世代が後期高齢者の入り口に立つ今、QOLの向上は国家的な課題になっています。医療用デバイスの技術革新は、高い需要があります。

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物材機構

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