帝人が人工関節を収益の柱に、欧米先行の成長市場に食い込めるか

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帝人ナカシマメディカルの人口膝関節

総合ヘルスケア企業への変容を進める帝人。強みの医薬品や在宅医療に並ぶ収益の柱に育成するのが、人工関節や骨接合材料などの「埋め込み型医療機器」だ。この領域は欧米企業が大きく先行するが、“アジア人に合った製品作り”を掲げる帝人がその利点を生かしてどこまで食い込めるか。成長市場を賭けた戦いが始まっている。

マシニングセンター(MC)が複雑な人工関節を精密に削り出す―。ここは帝人ナカシマメディカル(岡山市)の本社工場だ。製品は鏡面研磨や検査、滅菌などの工程を経て仕上げられ、手術を受け持つ医師のもとに届けられる。

帝人が埋め込み型医療機器に参入したのは2015年。船舶用プロペラ大手のナカシマホールディングス(HD)の医療機器子会社に出資し、帝人ナカシマメディカルとして共同運営を始めた。

「日本人の骨格に適したデザインやサイズバリエーションが強みだ」。帝人ナカシマメディカルの横田勝彦社長は自信を見せる。同社は日本人の骨形態の分析や動態解析を基礎に研究開発を続けており、その高い製品力が医療現場の支持を得ている。欧米企業が高シェアを維持するこの市場で、日本人に照準を合わせたモノづくりが武器だ。

高い製品開発力も特徴の一つだ。設計で駆使するのは、プロペラ製造で培った3次元CADの技術。「医師の意見や要望を取り入れながら」(横田社長)複雑な形状を巧みに設計するという。

製品は人工の膝関節、股関節を中心に、肩関節、肘関節、指関節、足関節と広くそろえる。この他にも、折れたり脱臼したりした骨を一時的に接合する金属材料、脊椎の固定器具なども持ち、育成に力を入れる。

「まずは日本で確固たる基盤を築き、ゆくゆくはアジアに進出し、多くの患者の生活の質の向上に役立ちたい」。岡山発の人工関節がアジア全土に根付くか。横田社長の手腕が試される。(取材・小野里裕一)

日刊工業新聞2020年1月3日

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