台風被害で問い合わせ増…マンション大手、浸水対策どうする?

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台風19号は大きな爪あとを残した(東京・東急線二子玉川駅付近、19年10月18日撮影)

2019年10月の台風19号で高層マンションの電源設備が浸水した被害を受け、マンション大手で備えをより万全にする動きが出ている。東急不動産は地下の電気設備室に防水扉の設置を検討。野村不動産も建物への浸水対策と早期復旧の対応を見直す。国土交通省などが3月をめどに浸水対策の指針をまとめるのにあわせ、各社は安全・安心な住まいに磨きをかける。

【ハード対策強化】

マンション大手はかねて、計画地のハザードマップや浸水履歴などを基に対策を実施。それでもリスクが残る場合は開発を断念し、安全を確保してきた。ただ台風19号では河川の氾濫だけでなく、排水できなくなった水が市街地であふれる内水氾濫も注目された。購入希望者からの問い合わせが増えていることも踏まえ、ハードの対策を充実させる。

「ブランズ」シリーズを手がける東急不動産は、新築で電気設備室を地下に置く場合に防水扉の導入を検討。浸水時にも停電と給水ポンプの停止を食い止める体制を整える。

これまでにもハザードマップや道路勾配、地勢などに応じて止水板やハンプ、非常時に使用する雨水貯留槽などを設置してきたが、近年の災害で目立つ“想定外”に備える格好だ。

【一時電源の確保】

東京建物も展開する「ブリリア」シリーズで、物件ごとに浸水対策を再検討する作業に入った。ハザードマップで浸水が想定されている場合は、従来から住戸や電気設備・給水ポンプ室を地下や半地下に設けなかったり、非常用発電機を稼働させてポンプでの給水を維持したりする仕組みを整備してきた。さらに、自宅で生活を続けられる環境を築いていく。

一方、野村不動産や大京が有効と捉えるのが太陽光発電システム(PV)と蓄電池を組み合わせた一時電源の確保だ。大京は浸水対策を講じるとともに、PVや蓄電池などの導入を検討。「SONA―Lシステム」とし、災害時にも電気や水道を維持する基盤を構築する。住友不動産や三井不動産も、国の指針にあわせてさらなる対策に乗り出す。

【ソフトも活発化】

マンション各社は併せて、分譲済みマンションへの支援にも取り組む。あくまで区分所有者らで構成する管理組合が主体となるが、浸水や停電のリスク、非常用設備などの情報提供が増えているという。

後付けが困難なハードに比べ、ソフトの拡充も活発。最近は防災倉庫の備品を充実して共助に備えたり、物件ごとに防災計画書を提供する例が多い。

日刊工業新聞2020年1月22日

キーワード
浸水 台風 マンション

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