「福島復興、常磐線特急は希望の印」(JR東日本社長)

JR東日本社長・深沢祐二氏インタビュー

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―2011年3月の東日本大震災以降、不通となっていた福島県の常磐線・富岡―浪江間が3月14日に開通します。
「震災から9年。被災線区の中で最後に残った線区だ。震災後、各線の復旧を担当していたこともあり、非常に感慨深い。鉄道の再開で次のフェーズに移る。震災からの復興は我々のミッションだ。できるだけ多くの人に乗ってもらい、地域活性化に貢献したい」

―常磐線の全線再開で都内から仙台行き直通特急も設定します。
「駅周辺が復興拠点に位置付けられ、地元は期待している。(10両編成の特急は)輸送力として(需要より)大きいが、経済合理性だけでなく、将来に向けて一つの希望の印として走らせたい」

―今夏開催の東京五輪・パラリンピックへの準備状況は。
「ハード、ソフト両面で準備してきた。各駅のバリアフリー改良やホテル、駅ビルは完成に近づいている。駅には訪日客への多言語案内設備を整備するほか、(首都圏外の)支社からサポーターを募り、人を配置して直接案内する。全員で五輪を機会にチャレンジして、将来につながるレガシーをつくりたい」

―18年から取り組む経営ビジョン「変革2027」の進捗(しんちょく)は。
「いくつか形になってきた。社員に“変革ストーリー”の中で、自分がどういうことをやっていくかを考える雰囲気が相当、浸透してきた。組織横断的なプロジェクトが立ち上がっている。例えば、中央・総武線の慢性遅延対策。駅、運輸区、メンテナンスの各職場で、各数秒の小さな工夫を積み重ねることで、それなりの効果が表れている」

―試験車両「ALFA―X」での研究など北海道新幹線・札幌延伸への取り組みは。
「距離が伸びるほどスピードは重要性を増す。札幌まで行く時は今より、いかにスピードアップするか。時速360キロメートルの運転、(貨物併用の)青函トンネルの走行、(盛岡以北の)整備新幹線区間の速度向上。課題一つひとつを解決していく」

【記者の目/ヒト起点への転換に手応え】
鉄道起点からヒト起点にしたサービス・価値創造へ―。JR東日本は「変革2027」で、人口減少に代表される社会環境の変化に危機感を共有し、グループ社員にパラダイムチェンジを求めた。深沢祐二社長は現場を回って意見交換を重ねる中で手応えを感じているようだ。ベクトルを合わせ、動きだしてしまえば加速は速いものだ。(小林広幸)

JR東日本社長・深沢祐二氏

日刊工業新聞2020年1月21日

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