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IBMのAI「ワトソン」がキャリアパスを支援します!

IBMのAI「ワトソン」がキャリアパスを支援します!

従業員は携帯端末などでいつでもどこでも学習できる

米IBMは人工知能(AI)「ワトソン」を使って、社員のスキル向上やキャリアパスを支援する教育プラットフォーム(基盤)を社内外に拡大する。個々の社員にパーソナライズした教育プログラムを日本IBMを含め、全グループ36万人に展開するとともに、教育の履修件数を証明する「デジタルバッジ」などのスキル評価の仕組みを社外にも普及させる考え。

デジタル化の進展に伴う働き方の変化を踏まえ、雇用のミスマッチの解消や生涯学習の文化を社会全体へと広める。

IBMは社員のスキルアップの仕組みを一般化し、デジタル化で仕事を奪われる人々に再教育の機会を与え、新しい職務や仕事に移行できる道筋を作ることの重要性を提唱。各国政府機関に働き方や雇用のあるべき姿を提言しており、このほど日本政府に対しても、雇用支援策の一助として伝えたという。

IBMは全グループで実践する教育基盤を3年前に立ち上げ、現在、各従業員がパソコンや携帯端末を通して、24時間365日どこでも必要な教育プログラムを受けられるようにしている。

教育プログラムは動画配信サービス「ネットフリックス」のように自ら選択する方式。自分と同じ職務の社員のレビューを見たり、目標とするマネジャーがどのコンテンツを選んだかを調べたりできる。さらに携帯端末で使えるAIチャットボット(自動応答ソフト)を通して、次の職位へ進むにはどのようなスキルを身に付ければよいかなども推奨している。

教育プログラムは一つのコンテンツが終了するごとに履修証明として「デジタルバッジ」を与える。デジタルバッジは現在、2500種類あり、すでに3年間で150万個のバッジが登録済みという。

同社ではデジタルバッジを社員のモチベーションの向上や社内の配置転換などに生かすほか、退職後にもバッジを持ち運べるようにしたり、自社主催のインターンシップ(就業体験)などに参加した人に付与したりしている。これにより人材の活躍の場を社外にも広めるとともに、政府機関による中小企業の雇用支援にも役立てる。

日刊工業新聞2020年1月7日

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