冷陰極X線管で小型軽量化を実現、いわきの実力企業がCTに参入!
ピュアロンジャパンが開発、21年にも販売
ピュアロンジャパン(福島県いわき市、中島秀敏社長)は、冷陰極X線管により小型軽量化を実現したコンピューター断層撮影装置(CT)を開発した。国の承認を受けてから2021年にも販売する。現在、設備を導入して量産体制を整えている。冷陰極X線管を用いたCTは日本とタイで生産、販売する。
冷陰極管X線検査装置は実用化開発をほぼ完了した。ピュアロンの半導体製造技術を駆使した超真空技術により、カーボンナノチューブ構造体の陰極電子線源を用いて製造する。熱陰極X線管よりも30%以上の軽量化を目指し、コンパクト化する。バッテリー駆動で利用できる。
ピュアロンはいわき市内の環境・開発・中央研究所で超高真空ロウ付炉を導入するなど量産準備に入った。1台のCTに冷陰極管X線装置が1―2台入る構成。冷陰極X線管によるCTの販売に先立ち、フィラメントに熱を加える熱陰極X線管のCTを20年春以降から国内で販売する。
タイの医療機器メーカーのピクサテック(バンコク)が開発し、ピュアロンが日本仕様に改造したもので、手術室へ移動でき、X線管が回転しながら断層撮影する。CTは一般的に数トンの重量だが、同装置は200キログラムと大幅に小型軽量化を実現。価格は1台5000万円程度を予定する。ピュアロンはX線管画像診断装置の事業展開に当たり、ピクサテックと日本とタイにそれぞれ合弁企業のピクスロンジャパン(いわき市)、ピクスロンタイランド(タイ)を設立している。
日刊工業新聞2019年12月26日