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「そばの原料」輸入額31年連続トップ、なぜ横浜港は他港を圧倒するのか

「そばの原料」輸入額31年連続トップ、なぜ横浜港は他港を圧倒するのか

輸入されたそばの実を検査

もうすぐ大みそか。1年の締めくくりに年越しそばを食べる人も多い。日本そばは江戸時代から大衆食として親しまれ、抗酸化作用があるポリフェノールのルチンなどを含む栄養価の高い食べ物としても知られている。

そばの原料となる「そばの実」は国産のみならず、多くが中国や米国など海外から貨物船で輸入されている。輸入品はそば殻のついた「殻付き」と、そば殻を取り除いた「むき実」の2種類がある。特に横浜港は1988年以来、31年連続で輸入量・金額ともに全国1位となっている。

同港を管轄する横浜税関によると、2018年のそばの実の港別輸入量は1位の同港が5万2932トン。2位は新潟港で1万73トン、3位は大阪港で9545トン。輸入額は1位の横浜港が33億971万円。2位が新潟港で6億4960万円、3位は大阪港で6億1614万円と続く。

横浜港のそばの実の主要輸入国は中国や米国など9カ国。特に生産量が多く、品質が安定しており輸送日数が短いことなどから中国からの輸入がトップとなった。同港の中国からの輸入量の全体の72・1%、輸入額では同69・2%を占める。

国内の港別輸入シェアをみると、18年の同港は輸入量、金額ともに50%台となり、他の港を圧倒している。この理由は、そばの実を搬入保管するためのサイロや倉庫があり輸入業者が物流拠点としていることや関東、東北、甲信越地方にある製粉メーカーへの輸送に便利な場所であることが挙げられる。

横浜税関では「外食産業やコンビニエンスストアで一定の需要がある」(調査統計課)など国内需要が一定程度見込まれるとして、そばの実の輸入は横ばい傾向で推移するとみている。

日刊工業新聞2019年12月27日

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