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「北海道新幹線」来年3月26日に開業!地元経済への効果は?

東京―新函館1日10往復。青函地域の活性化を目指す
「北海道新幹線」来年3月26日に開業!地元経済への効果は?

今年3月開業の北陸新幹線は金沢などに大きな経済効果を生み出した

 JR東日本とJR北海道は16日、北海道新幹線の新青森―新函館北斗間を、2016年3月26日に開業すると発表した。運転本数は1日13往復で、このうち東京―新函館北斗間の直通列車は10往復、仙台、盛岡、新青森発がそれぞれ1往復となる。名称は東京と仙台発が「はやぶさ」、盛岡と新青森発が「はやて」となり、停車駅やダイヤ、所要時間などは今後検討し、12月をめどに公表する。
 
 新幹線開業に伴い、新青森―函館間の特急「スーパー白鳥」と「白鳥」、青森―札幌間の急行「はまなす」、上野―札幌間の寝台特急「カシオペア」を運休する。北海道新幹線は東北新幹線を延伸し、新青森―新函館北斗間を開業する。本州と北海道を結ぶ青函トンネルは、電圧が異なる新幹線と在来線の共用区間となっているため、開業を前に、列車を運休して地上設備の切り替え作業などを実施する。

 16年1月1日に青函トンネルを通過する、すべての旅客列車を運休し、地上設備最終切り替えの事前確認を実施。また開業4日前の16年3月22―25日の4日間も、地上設備最終切り替え作業のため、旅客列車を運休する。

 カシオペアは新幹線との共用区間での機関車の走行が難しいため、上野―札幌間での運行を取りやめる。ただ、太田朝道JR東日本執行役員(運輸車両部長)は「(車両の)廃車は考えていない」とし、JR東日本管内で運行を継続する方針を示した。

北洋銀行・石井純二頭取インタビュー


日刊工業新聞2015年4月29日付


 ―北海道経済の現状、資金需要や低金利が続く状況をどう見ますか。
 「道内は円安の恩恵が少なくアベノミクス効果が波及していない。一方で観光客は順調に増加しており、観光に支えられている。企業の資金需要も医療・福祉関係は好調だが全体的に力強さはない。国債などの低金利はまだ続く。コンサルティング機能を強化して資金需要に応える。預かり資産の販売や為替決算の強化も図る。PFI(民間資金活用による社会資本整備)や事業承継などで資金需要を創出することも重要だ」

 ―地方創生にはどう関わっていきますか。
 「2月に地域産業支援部内に地方創生推進室を設置した。人口減少の問題は避けて通れない。課題に自治体がしっかり取り組めるよう支援する。信用金庫などとの連携も進めており、当行のノウハウを活用したり、地方創生の話し合いを持つなど協力していく。食と観光だけでなく各地域の独自性・将来性のある取り組みも支援したい」

 ―モノづくり産業の振興も課題です。
 「北海道は製造業の割合が全国的にも低い。当行では2012年に『北洋銀行イノベーションファンド』を設立した。起業期・成長期の企業に原則種類株で出資し、議決権もない真に役立つ資金を提供している。販路拡大に向けた商談会『ものづくりテクノフェア』も毎年開催している。東京都大田区などの企業に出展してもらうことで刺激を受けたり技術について話し合ってもらう。技術集団を集積させることが北海道には必要だ。産学官金で取り組んでいく」

 「食関連の製造業をいかにつくっていくかも重要だ。農林水産業に付加価値をつければ製造業も成長し雇用も生み出せる。北海道は自然エネルギーのポテンシャルも高い。道東をはじめ、本道は日照時間が長く、バイオマスや風力なども可能性があるだけに多角的に支援したい」

 ―16年3月には北海道新幹線が開業します。
 「12年に青森銀行と連携協定を結んだ。共同で『青函活性化ファンド』を設立し、カレーと洋菓子で老舗の五島軒に出資した。小売業のアークスグループなどとも連携し、北海道と青森のコラボ商品を売ってもらうなど青函地域の活性化を目指す」
 
 【記者の目/ノウハウを集積独自性アピール】
 北海道の食のブランド価値は内外に広く浸透している。強みを生かして地域活性化を目指すにはより多くのノウハウなどを集めることで、可能性はさらに広がる。北洋銀行は「北海道のリーディングバンク」として、地域発展に向けた取り組みで企業間連携の中心になるなど果たす役割は大きい。北海道新幹線開業も控え、北海道の独自性などをどうアピールするかが地方創生を目指す上でのカギをにぎる。
(聞き手=札幌・山岸渉)
日刊工業新聞2015年09月17日 3面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
金沢は依然とてもバブってます。北海道までの費用対効果を考えると、北陸のように新幹線よりも飛行機と考える人が多いと思うが、青森と函館の連携は新しい経済・文化価値を生む可能性があるのではないか。

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