小児の臨床試験をロボットが優しくサポート
日本イーライリリー(神戸市中央区)は小児を対象とする臨床試験にロボットを活用する取り組みを始めた。全国6の医療機関にたまご型ロボ「Tapia」(タピア)を設置し、臨床試験の参加や継続を促す。
小児用医薬品の開発は小児による臨床試験が必要だが、小児患者が少ないことや臨床試験の認知度が低いことなどを背景に被験者を十分に集めるのが難しいのが現状だ。さらに、一度参加しても年少の被験者が臨床試験を十分に理解してないことが多く、途中で参加を止めてしまうことが多いという。
タピアは、発話機能と液晶画面による動画再生機能を搭載したコミュニケーションロボで、MJI(東京都港区)が開発した。ロボは来院した小児患者に優しく語りかけ、臨床試験の内容を分かりやすく説明する。
臨床試験に参加中する患者が来院した際は、ロボが「調子はどう?」、「先生に話したいことある?」などと話しかけ、参加の継続を支援する。
今回は試験運用で、若年性特発関節炎の患者が対象。2021年2月まで、東京や神奈川、宮城などの医療機関に設置する。同社は結果を検討し、今後開始する小児対象の臨床試験に生かすほか、同様のツールを成人対象の臨床試験にも利用する予定だ。
日刊工業新聞2019年12月19日