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モバイルゲーム開発、バンダイナムコがバルセロナに新会社のワケ

モバイルゲーム開発、バンダイナムコがバルセロナに新会社のワケ

バンダイナムコエンターテイメント公式フェイスブックページより

バンダイナムコエンターテインメント(東京都港区)は8月、スペイン・バルセロナにスマートフォンなどモバイル向けゲームコンテンツを開発、運営する「バンダイナムコモバイルS.L.」を設立した。モバイル関連企業が集積するバルセロナで、欧米向けに現地開発する。設立から4カ月、現状と今後の展開を久保田達也最高執行責任者(COO)に聞いた。

―新会社設立の理由と現状は。
「これまでは日本で開発したものを販売してきたが、現地に合った商品を投入するため進出した。バルセロナはモバイル関連企業への税制優遇などが成功し優秀な人材が世界から集まっている。モバイルゲーム企業は、仏ユービーアイソフトなどの大手を含めて100社以上が進出している。キーマンの採用も決まり、本格的なコンテンツ開発を始める」

―競合他社も多い中、採用や定着は難しいのでは。
「給与を高くするだけではダメで、大事なのは人事戦略だ。細かな管理はせず、責任と自由の文化を育てて少数精鋭でいく。バンダイナムコホールディングスには玩具や映像、音楽などもあり、モバイルゲームからそれらに横展開できる。自分が生み出したものがオモチャや映像になる可能性をアピールする」

―モバイル系に伸びしろがあるということでしょうか。
「伸びしろはあるかもしれないが、基本プレイ無料(フリー・トゥ・プレイ)なので、つまらないものばかり作っていると投資回収ができない。ただパソコンゲームも家庭用ゲームもフリー・トゥ・プレイの方に広がりがあるはずだ」

―今後、ゲーム人口はどう推移しますか。
「欧米では子どもの頃に『プレイステーション』で遊んだ世代が親になり、その子どもたちがゲームに親しんでいる。可処分所得のある層が買える層になり、ゲーム人口は拡大している。開発途上国でも一気に携帯電話が普及してゲーム人口は増えている。欧州にあるマーケティングの8拠点を駆使してバルセロナで分析し、各地の人の好みにあったモバイルゲームの開発や適した売り方を目指す」

久保田達也最高執行責任者

【記者の目/次のヒット商品創出へ】
ゲームも伝統的なモノづくり同様、現地開発が重要だという。「バンダイナムコ」の社名を知らなくても「パックマン」や「ドラゴンボール」の認知度は高い。これらのように一度大ヒットすると、世代を超えて息長く遊んでもらえる。バルセロナは競合が多いが、そんな中だからこそ次のヒット商品の創出が待たれる。(編集委員・丸山美和)

日刊工業新聞2019年12月17日

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