「理化学機器」は円安に弱い!?絶頂からわずか4年で倒産

エル・エム・エス、仕入れ価格上昇で負のスパイラル

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写真はイメージ
 

エル・エム・エスは、11月19日に民事再生法の適用を申請、同月25日に再生手続き開始決定を受けた。同社は1985年に設立され、理化学用関連の器具・消耗品および試薬の販売を主力に理化学機器や医療用機器、動物実験用機器の販売も手がけていた。国内外約2200社から仕入れを行うことで取扱商品は約30万点に及び、取引先の幅広いニーズに対応することで営業基盤を構築。札幌から那覇まで11の事業所を擁し、全国に短期納品できることも奏功。売り上げを伸ばし、2015年9月期には年売上高約122億3900万円を計上していた。

 

しかし、この前後から円安の影響により輸入事業において仕入価格が上昇し収益がダウン。加えて、主力商品の販売終了や販売鈍化により業績が悪化するなか、改善策として人員を増やし営業力アップに努めた。だが、思うような効果は得られず、逆に人件費が増加し収益を圧迫していった。

 

また同社は、以前より資金繰りに窮する取引先に対し、貸し付けや売掛金の支払い猶予を行っていた。その数は現在判明しているだけでも約50社、金額で15億円に上り、このうち返済が行われているのはたったの2社。業績が悪化する同社の資金繰りにおいて大きな足かせとなっていった。

 

民事再生法の適用申請直前に行われた財務調査によると、決算書の内容が実態とかけ離れていることが判明し、特に短期貸付金と売掛金の部分だけで併せて28億円程度の毀損があったとされる。これとは別に粉飾決算を行っていたことも判明しており、銀行提出用と税務署提出用の2種類があったとされている。

 

申請時点で、監督委員ではなく、保全管理人が選任されたことでも話題となった今回の事例。社長に近い関係者の言葉を借りれば問題となった貸し付け、支払い猶予は“社長の漢気”による救済措置であったようだが、自社の収益悪化に伴い最後は自らの首を絞めることとなった。

(帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2019年12月10日

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