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韓国からの訪日客減も…盛り上がる九州観光のワケ

韓国からの訪日客減も…盛り上がる九州観光のワケ

試合開始前からビールで盛り上がる各国のサポーター(10月19日、JR大分駅前)

アジアで初開催となった今年のラグビー・ワールドカップ(RWC)。9月20日に開幕し全国12会場で熱戦が繰り広げられた。観客数は約170万人を記録。初めて決勝トーナメントへ進出した日本代表の活躍もあり、予想を超えて盛り上がった。

九州では福岡と熊本、大分が会場となった。決勝トーナメント2試合を含む5試合が開催された大分県。ニュージーランドや豪州、欧州から大勢の観戦客が訪れ、街の風景は一変した。試合開始前からビール片手に談笑する姿があちこちで見られた。広瀬勝貞大分県知事は「至る所で観光客と県民との交流があった。大分の人はホスピタリティーがあるという評価をいただいた」と笑顔を見せる。

同県内の10月の観光統計調査(速報値)のうち、英国からの延べ宿泊者は前年同月比59・1倍の1万3949人、フランスが同21・6倍の4261人となった。前年の統計がない豪州は9065人を記録した。従来の主力だった韓国からの来訪者が日韓関係の冷え込みで大幅に落ち込む中、県内観光を大いに盛り上げた。

各国の代表チームのキャンプを受け入れた自治体も今後のRWC効果に期待する。宮崎県では日本代表が大会前の1カ月以上にわたり“地獄の合宿”を行ったほか、準優勝したイングランドもキャンプを張った。

同県は、商工観光労働部内に「スポーツランド推進室」を設置してキャンプ誘致やスポーツ関連産業の振興に力を入れている。

今回県内でキャンプを張ったチームがいずれも好成績を残したことで「知名度の向上とともに、縁起の良いキャンプ地としてアピールできたのでは」(同推進室)と振り返る。

来年に東京五輪・パラリンピックが控える。広瀬知事は「我々が思うおもてなしと、外国からの観光客が思うおもてなしは違う部分も多い」と指摘する。RWCでの得られた学びを、早速生かす機会になりそうだ。(取材=東九州支局長・宗健一郎)

日刊工業新聞2019年12月10日

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