コンビニで総菜計り売り、AIが強力に後押し

種類識別・価格計算を瞬時に

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コンビニ「オレボ」が導入したAI活用お総菜自動会計システム
 競争激化に人手不足が加わったコンビニエンス業界では、大手3社が無人レジの実証や24時間営業見直しなどを進めている。そんな中、老舗はかりメーカーのイシダ(京都市左京区)が、福井県の地域コンビニ「オレボ」と組み、人工知能(AI)でレジ業務を省力化する新システムを開発。店内調理した総菜で大手と差別化を図っている同コンビニに合致したシステムで、スーパーや弁当、総菜店などからも注目されている。(取材=京都編集委員・松中康雄)  「オレボ」は大津屋(福井市)が展開するコンビニで福井県に10店舗ほどある。店内調理した肉じゃがや、野菜炒めなどの総菜30―40種が並ぶ量り売りコーナーや、できたての弁当、丼ものなどが特徴で、大手コンビニに勝る顧客単価を誇る。

 イシダのAIシステムは盛り付け方に左右されず、はかりに置くと総菜種類を1秒以下で判別できる。オレボは10月から順次導入している。イシダは来春以降、他社へも展開する方針だ。

 システムの消費税抜きの価格は約300万円。イシダの通常のはかりよりも高いが、総菜を扱う店などに加え、スーパーの加工・調理場などでも省人化効果が期待でき、引き合いも強く、年500台の販売を見込む。

 多様な角度の総菜写真30枚を事前学習したAIで、はかり上部のカメラで撮った総菜を識別すると、値段を記録したバーコードシールを即印刷。現状は総菜を入れた容器に貼ってレジで読むが、セルフレジとの連動でさらなる店舗運営の効率化が可能という。

 オレボは売上高の6割超が総菜で、毎月の頻度で新総菜を開発・投入している。このため「総菜の種類と値段を覚えるのが大変で、外国人スタッフの採用などでハードルが高かった」(オレボ高木中央店=福井市)。

 導入から約1カ月。AIシステムでスタッフの負担を軽減したほか、ミスが減り、レジ作業速度を含め、ベテランと新人の差を補完できたという。

 イシダは当初、他社同様にパンのAI画像認識技術の開発を進めていた。だが「はかり屋ならではの装置はできないのか」と指摘を受け、総菜向けシステム開発に転換。指摘した大津屋も人手不足を先端技術で補い、強みの店内調理品で生き残りを図る。

 夕方のオレボの店舗を覗くと、仕事帰りや近所の人が総菜を求めて集まり、地域コミュニティーの活性化にも一役買っていた。独自の強みとコンビニの利便性を生かしつつ、省人化に取り組む大津屋。それを支えるイシダの新システムは海外に多い青果の量り売りなどへの応用も見込める。今後、国内外で多様な小売店業から注目されそうだ。

日刊工業新聞2019年11月21日

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