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日本発IoTが世界で成功するには―「Tech in Asia 2015」

日本におけるIoT:現代は近未来の様相を呈するか?
日本発IoTが世界で成功するには―「Tech in Asia 2015」

右から、ウッザマン氏、砂金氏、小笠原氏

 9月8~9日、アジアのスタートアップが集結し講演と交流が行われる「Tech in Asia 2015」が開催された。8日はメインステージにて「日本におけるIoT:現代は近未来の様相を呈するか?」と題し、ディスカッションが行われた。

スピーカー:
砂金信一郎氏 日本マイクロソフト エバンジェリスト
小笠原治氏 ABBALabおよびnomad、CEO さくらインターネット フェロー
インタビュー:
アニス・ウッザマン氏 Fenox Venture Capital 共同代表パートナー&CEO

IoT=モノのインターネット ではない


ウッザマン 日本のIoTはどのように考えられているのでしょうか。
小笠原 日本では「モノのインターネット」と訳されるが、「Things」をモノと訳すことがずれているように感じる。世の中の環境変化だったり、人の動作といった「ものごと」、つまりデータを集め活用可能にしていくことです。
砂金 マイクロソフト(以下MS)ではIoTはクラウドが重視されている。どれだけ大きなデータを集め、かしこく処理できるかがポイントであって、デバイスはその入り口にすぎないんですよね。

ピザの箱にセンサをつけたら?


ウッザマン まず大手企業の状況を考えていきたいと思います。今までで一番大きな公共プロジェクトは、ロンドン地下鉄だと思われます。インフラメンテナンスのためIoTを導入しました。これでメンテナンスコストが30%削減された。これのプロジェクトにMSが参加していましたね。
砂金 これ、なんで東京じゃなかったのかと悔しい思いがありますね。ロンドン五輪開催時にIoTが盛り上がりを見せ、導入された。日本も2020年に向けていろいろなプロジェクトがスタートしています。国内外の企業がIoTに参画する良いタイミングになるでしょう。
 IoTは大企業だけで一人相撲をするのではなく、複数の企業とのコラボレーションが必要になってきます。日本でも、大企業が行っているIoTプロジェクトにはベンチャー企業がセンサやソフトなどを担っている場合も多い。
ウッザマン 日本の大企業内でのIoT適用は遅れているんでしょうか。正直に言ってください。
小笠原 大企業では工場など生産現場に閉じている感じがします。生産効率をどう向上するかの予算獲得のために使われていて、本質的な意味でないような。
砂金 確かに「インダストリー4.0」の文脈で語られることが多かったんですが、ここ最近はコンシューマー向けにも興味を持ってきているように思います。先ほども名刺交換をしたピザ屋さんに、デリバリーピザの箱にセンサをつけたらどうでしょうと相談されました。ピザの温度や、いつ開封されたかなど、いろいろなことがわかりますよね、と話しました。
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
シーズを持っている大学、企業を探し、紹介し、事業化につなげるため、報道や取材の重要性を再認識しました。同時に、海外に紹介する術を模索したいです。

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