九電・川内原発、今日にも営業運転開始 電力料金は下がる?地元経営者の声は?

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九電の15年4―9月期は当期損益が450億円の黒字になる見通し(会見する瓜生社長=4日)
 「スタート地点」。九州電力の瓜生道明社長がそう表現する川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)1号機が10日に営業運転に入る。九電は電力の安定供給と収支改善に不可欠な最大の経営課題として、全社を挙げて再稼働に取り組んできた。しかし営業運転の再開は課題解決に向けた節目に過ぎない。一方、電力コストの上昇に苦しんできた管内の経営者は歓迎の声を上げている。

燃料費で収支悪化


 1号機の再稼働は、東日本大震災後に国が定めた新規制基準に基づく再稼働の前例がないという困難の中で進められた。手続きが九電の思うように進まないこともあったが、8月11日に再稼働にこぎ着け、14日には発電と送電を始めた。営業運転は原子力規制委員会の最終検査を受けて認められる。瓜生社長は「安全対策に終わりはないと肝に銘じて取り組む」と気を引き締める。

 九電は原発停止により火力発電の燃料費がかさみ収支が悪化。2015年3月期の連結決算は売上高1兆8734億円に対して1146億円の当期損失を計上した。当期赤字は4期連続。15年4―9月期の連結業績予想は、一時的な燃料の値下がりで5期ぶりの黒字転換を見込むが、通期の利益は現在も予想できない。


最大限の努力−安全対策「終わりなく」


 九州の産業界が注目するのは電気料金。九電は収支悪化で13年度に企業向けは平均11・94%、家庭向けは同6・23%値上げした。燃料調整費調整制度に基づく料金改定を除き、原価の見直しによる値上げは80年以来、33年ぶりのことだった。しかし九電には料金に関しての自負がある。80年以降、原価の見直しによる料金改定では値下げを続けてきた。それを支えていたのが発電コストが比較的安い原発だった。13年4月以前の料金は全国10電力会社のうち北陸電力に次いで安かった。

 九電は15年9月でも2番目の安さを維持している。それが実現できるのはコスト削減で不急な設備修繕の先送りや人件費のカットなど「極めて無理をしている状況」(同社)にあるからだ。川内原発1、2号機が稼働すれば月150億円程度の収支改善となる。2号機は11日に燃料装填を始め、10月中旬の再稼働を目指している。

 川内原発1号機の再稼働は再値上げの可能性を遠ざけても消し去ることはない。現行の料金は玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)3、4号機を含めて計4基の原発稼働を織り込んで算出されており、収支が厳しいことには変わりない。それが改善しなければ再値上げにつながる恐れがある。その玄海も15年度中の再稼働は難しい見通しだ。
 

財務基盤強く


 原子力の代替として酷使している火力などの修繕費用が今後増加するのは確実。自己資本比率の改善や復配などの経営課題も残る。16年4月の電力小売りの全面自由化による競争激化に臨むには強固な財務基盤が欠かせない。九電は山積する課題を前に、ようやくスタート地点に立ったに過ぎない。

日刊工業新聞2015年09月10日最終面

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