睡眠の質を高める「ヘッドバンド型端末」、フィリップスが投入

スリープテック市場がさらに盛り上がるか

 フィリップス・ジャパンは7日、睡眠の質を高めるヘッドバンド型ウエアラブル端末を発売すると発表した。端末に取り付けたセンサーで睡眠状態を測定して深い睡眠に入ると睡眠状態に応じたタイミングで小さな音を鳴らし、睡眠の質の向上を促す。国内では多くの人が睡眠不足を抱える中で先端技術により睡眠を改善する「スリープテック」の注目度が高まっている。世界的な家電メーカーの新製品により、一層盛り上がりそうだ。

 新製品は「Smart Sleep ディープスリープヘッドバンド」。26日に全国の家電量販店や電子取引(EC)サイトで発売する。価格は4万2380円(消費税別)。18―50歳未満を中心として睡眠不足が原因で日中に眠気を感じる人など、新製品で効果が期待できる人を対象に展開する。

 同製品はリアルタイムに睡眠状況を計測し、深い睡眠の状態である「徐波睡眠」に入った際にオーディオトーンと呼ばれる500―2000ヘルツの音をランダムに流し、徐波睡眠の振幅を大きくしたり、持続時間を長くしたりする。睡眠状況やオーディオトーンの回数はスマートフォンアプリで確認できる。フィリップス・ジャパンの堤浩幸社長は7日都内で会見し「睡眠から日本人の健康を変える」と力を込めた。

 日本人の平均睡眠時間は7時間22分で経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も短い。また、15年時点で6時間未満の人の割合は39.5%にも上り、この8年で11%増えている。睡眠不足は日常的に物忘れの増加や集中力の低下が起きる可能性のほか、認知症やうつ病、高血圧症などのリスクが高まる可能性が指摘されている。

フィリップス・ジャパンの堤弘幸社長(中央)ら


「Smart Sleep」は世界的にスリープテックを盛り上げるきっかけになった


ニュースイッチ2019年7月8日配信記事より抜粋


 スリープテックの情報をまとめた「スリープテックレポート」を18年12月にニューロスペースと共同で発刊したneumoの若林龍成社長にスリープテックの海外動向について聞いた。
 ―世界のスリープテック市場の現状を教えてください。
 18年に急速に盛り上がった印象です。その年の1月のCESで大手のフィリプッスが個人向けの製品を披露し、同6月には米国でベータ版を発売した影響が大きかったのではないでしょうか。フランスのスタートアップなどは盛んで、今年のCESでは中国の企業も多く出していました。

 ―具体的にはどのような製品が出てきているのでしょうか。
 多種多様な製品がありますが、やはり現状で多いのは睡眠の状態を計測する端末です。計測方法は脈拍や体圧など色々です。面白い製品としては睡眠に直接介入する端末が出ています。フィリプッスがCESで披露した製品「スマートスリープ」がそれで、睡眠状態を把握した上で音刺激により深い眠りを促すというコンセプトです。私も米国で購入して試しました。精度はまだまだこれからという印象を受けましたが、市場に出して消費者の声を聞きながら良くしていくという段階のようです。

 ―今後はどのような製品が登場しそうでしょうか。
 端末からの刺激などによって、より深い睡眠を促すだけでなく、記憶力や仕事の生産性を向上させるといった製品があり得ると思います。例えば、寝る前に何かを覚え、起きた時にどの程度を記憶していたかテストする実験を行ったところ、(脳波計によって計測される)デルタ波が多く出る睡眠の方が記憶力が上がったという研究があります。フィリップスがスマートスリープを開発する際にも基にしている研究です。そうした研究を生かして発展していく可能性があると思います。

関連記事:“睡眠テック”市場で抜け出すのは誰か

neumoの若林龍成社長

ニュースイッチオリジナル

葭本 隆太

葭本 隆太
11月08日
この記事のファシリテーター

スリープテック製品はこれまで睡眠状況の可視化とそれに基づくアドバイスが中心でした。フィリップスの製品は身体に直接働きかける「介入」ということでインパクトがあります。スリープテック市場が盛り上がる起爆剤になるでしょうか。

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