企業のパワハラ対策義務化、「冷静に部下を叱る」は実践できるか

早ければ大企業が20年4月から

 企業にパワーハラスメント(パワハラ)対策が義務化される。政府は年末をめどに指針を策定。早ければ大企業が2020年4月、中小企業が22年4月から適用になる見通しだ。

 パワハラは行為者の問題として対処されやすいが、パワハラが起こりやすい職場ほど行為が繰り返される傾向がある。施行までの期間を利用して対策を強化したい。

 改正労働施策総合推進法はパワハラについて「優越的な関係を背景にした言動で、業務上必要な範囲を超えたもので、労働者の就業環境が害されること」と定義している。その上で相談窓口の設置や社内調査体制の整備、当事者のプライバシー保護などの防止措置を義務づける。違反企業は行政指導や勧告の対象になり、悪質な場合は社名を公表するとしている。

 厚生労働省の16年度実態調査によれば、相談窓口を設置している企業は8割を超える。一方で従業員が設置を把握している企業は4割強にとどまる。従業員99人以下では半数以上が未設置だ。

 仮に窓口があっても、規模の小さな企業では担当者が行為者・被害者の双方と面識があるのが普通だろう。そうした企業の場合は被害者が相談しにくく、事実関係の把握が難しいという指摘もある。社外の相談窓口を活用するなど実態に即した体制づくりが急がれる。

 特に中小企業ではトップが号令し、就業規則に「パワハラは懲戒対象になる」と定めるなどの行動を起こす必要がある。“仏作って魂入れず”にならないよう、繰り返し研修をするなどして社内に規範意識を浸透させたい。従業員のうつ病や自殺の原因になれば企業の信用力は低下し、採用や業績に悪影響を及ぼしかねない。経営戦略としてしっかり取り組みたい。

 「冷静に部下を叱(しか)る」、「大勢の従業員がいる前で部下に恥をかかせない」、「叱るだけでなく改善策をアドバイスする」、「個人的な興味で部下のプライバシーに立ち入らない」。みなさんの職場では、どこまで実践できているだろうか。

日刊工業新聞2019年10月22日

  

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