高級コンサルタントのクラウドソーシング「Expert360」はなぜ注目されるのか
文=尼口友厚(ネットコンシェルジェ CEO) “ギグエコノミー”の潮流に乗る
中小企業もコンサルタントを使えるようにしたいという想い
現在はスタートアップから大企業まで、事業規模に関わらずコンサルタントをマッチングするサービスを提供しているExpert360だが、もともとは中小企業に注目したことで産まれたサービスだったという。サービスを創設したのはBridget Loudon(写真右、以下ラウドン)氏とEmily Yue(写真左、以下ユー)氏の2人。
ラウドン氏はアイルランド国立大学で経済を学んでいた人物で、卒業後はオーストラリアのアパレル製品をアイルランドに卸売販売するビジネスを手がけていたが、2010年にアイルランドが不況になったことからオーストラリアに移住した。
そして教育ソフトを販売する会社に勤めた後に「ベイン&カンパニー」に所属するコンサルタントとなり、ここで後に共同創業者となるEmily Yue(写真左。以下ユー)氏と知り合い、良い同僚・友人となった。
2人はコンサルタントとして働くうち、コンサルタントのサービスを受けることができるのは資本を持った大きな会社に限られやすいことに気づくようになる。中小企業も自社のビジネスについてアドバイスをくれる人材は欲しているが、大企業のようにコンサルタントに高い料金を支払う、ましてや専門性の高い社員をフルタイムで雇うことができず、諦めてしまっていたのだ。
2人はこうした問題を見ていて、どうやったら中小企業でもコンサルタントを利用できるようにできるのかを考えた。そして着目したのがフリーランスの存在だ。
昨今ではフルタイムで正社員として働くのでなく、フレキシブルな働き方をしたいと考えている人たちが増えてきている。高い専門性を持ったプロフェッショナルや、ビジネスを起業して成功させたアントレプレナーも例外ではなく、フリーランスとして他の人を助ける仕事をしていきたいと考えている人たちが多くいた。
そこで2人は、こうした中小企業と専門性の高いフリーランスを結びつけ、格安で迅速にコンサルタントと契約できるマッチングサイトを2013年7月より開始。その結果その使いやすさから中小企業のみならずさまざまな規模・業種の企業に受け入れられることになった。
現在、Expert360は1000もの企業から1000万ドル(約12億円)以上の仕事を受注している。また現在では地元オーストラリアのみならず、米国やドイツ、フランス、アジア各国においても利用されるようになったという。