ノーベル賞の受賞発表、なぜマスコミの取材スタイルは変わった?

受賞を逃したときの落胆と撤収

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ノーベル賞受賞の会見をする京都大学の本庶佑特別教授(左)
 ノーベル賞の発表が来週から始まる。昨年の本庶佑(たすく)・京都大学特別教授に続き、日本人研究者が受賞するかが気になる。有力候補とされる人は日本にたくさんいる。

 発表当日はマスコミ各社が喜びの表情をいち早く伝えようと、全国各地の大学や研究機関で待機する。最近は少なくなったが、20年ほど前は研究室に直接押しかけ、有力候補を発表前から取り囲むこともしばしばだった。

 ある研究者は記者らが机の周りで黙って見守る中、パソコンをいじりながら時間をつぶした。発表時間が迫ると緊張が高まった。記者の一人に電話が入り、別の人が受賞と分かるや、ほとんどの記者が5分以内に撤収した。

 普段は感情を表に出さない研究者も、その時ばかりはつらそうに見えた。とても声をかけられる雰囲気ではなかった。いたたまれない気持ちになり、頭を下げて静かに退室したのを覚えている。

 数年後、その研究者はマスコミをシャットアウトし、別室で待機するようになった。後にノーベル賞を受賞したので、近年は心穏やかにこの時期を迎えていると思う。毎年、複雑な思いを抱く有力候補も少なくないだろう。もし今年、受賞が決まったら、晴れやかな笑顔で積年の思いを吹き飛ばしてほしい。



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日刊工業新聞2019年10月4日

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