ペルチェの10倍…東大開発の高効率な冷却素子がスゴい

大型コンピューターに使う冷却エネルギーの削減など期待

 東京大学生産技術研究所の平川一彦教授らは、高効率の冷却性能を持つ素子を開発した。水が蒸発する際に熱が奪われるように、素子内の電子のエネルギーが奪われ温度が下がる量子現象を利用。従来の固体冷却素子であるペルチェ素子の約10倍の冷却能力が期待できる冷却素子を作製した。大型コンピューターに使う冷却エネルギーの削減やデバイスの性能改善が期待される。

 現在のエレクトロニクスはデバイスの高密度集積化と高速動作で発展してきた。だが最近では内部で発生する熱が増え、動作や信頼性に影響が出ている。データセンターやスーパーコンピューターでは全体を冷やし過熱を防いでいるが、莫大(ばくだい)なエネルギーが必要となる。そのためデバイスを効率良く冷やす技術が求められていた。

 研究グループは、ガリウムヒ素とアルミニウム・ガリウムヒ素の2種類の半導体を接合した素子を作製。電流が流れるにつれて、素子の冷却に関わる電子からエネルギーが奪われ電子の温度が下がることを明らかにした。成果は3日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に掲載された。

        

ガリウムひ素/アルミニウム・ガリウムひ素ヘテロ構造を用いて作製した熱電子放出冷却素子のバンド構造(左)と蒸発冷却により冷える電子系に接している量子井戸内のフォノンが冷える機構の模式図(東京大の発表資料から)

日刊工業新聞2019年10月4日

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