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周りを冷やせる半導体“ペルチェ素子”、車やヘッドホンで利用増加のワケ

ジーマックスがモジュール4割増産
周りを冷やせる半導体“ペルチェ素子”、車やヘッドホンで利用増加のワケ

中国の新工場の完成予想図(2期まで)

 ジーマックス(東京都港区、高井淳治社長、03・5408・9610)は、2019年内をめどに中国河北省秦皇島市でペルチェ素子モジュールを製造する主力工場を移転増強する。同市内の土地を確保済みで、5年ほどで順次拡張する。増強で同モジュールの生産能力を24年に現状比4割増の年350万個に引き上げる。自動車をはじめ半導体製造装置、小物家電、産業機械など向けの受注増に対応する。総投資額は約8億5000万円。

 ペルチェ素子は電流で冷却・加熱の温度制御が可能な半導体素子。静音性に優れ、病室や客室向けの冷蔵庫などが代表的な採用事例。

 同社のペルチェ素子モジュールは高い品質と技術サポート体制が特徴となる。18年に中国の電気自動車(EV)メーカーの車載制御機器の冷却用途で採用された。車載向けは今後、シートの温度調節用途も狙う。自動車以外でも今夏には大手電機メーカーのヘッドホンに採用された。半導体製造装置用チラー(冷却水循環装置)や産業機械用除湿器、冷蔵庫やドライヤーといった家電向け需要も伸びている。

 移転後の生産効率化も狙う。新工場は1―3期に分け段階的に建設する。用地の面積は1万2400平方メートル。設備や建物の詳細は今後詰める。現在の中国での同モジュール生産と、同モジュール向けのセラミックス部材生産は同一市内でも場所が少し離れている。そのため、新工場に集約する方針という。ペルチェ素子の需要は多様な製品向けで年々増えている。
日刊工業新聞 2018年9月27日
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
小型で騒音・振動が発生しないことがペルチェ素子の利点です。

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