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地球温暖化の被害額は今世紀末にGDPの8.6%、地域で格差も

 国立環境研究所と茨城大学、京都大学などの研究グループは、地球温暖化で生じる経済的な被害額を推計し、最も悲観的な将来の仮定として21世紀末での被害額が世界全体の国内総生産(GDP)の3・9―8・6%となるとの試算を明らかにした。一方、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの削減と地域間の経済格差の改善などを実施した場合には、被害額を0・4―1・2%に抑えられることも分かった。

 農業生産性や冷暖房需要、火力発電、海面上昇など地球温暖化で影響を受けると考えられる9分野を対象に世界での被害額を推計した。2080―99年において、石油などの化石燃料に依存し続け温室効果ガスを排出し続けるシナリオでは、被害額が世界全体のGDPの3・9―8・6%となった。一方、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ2度C未満に抑える目標を達成するための温室効果ガスの排出削減を実施し、さらに社会経済状況の改善が進んだシナリオでは、被害額を0・4―1・2%に抑えられることが分かった。

 また地域により受ける影響に大きな差が出ることも分かった。アフリカなどの開発途上国が占める割合が多い地域では、温室効果ガスの排出削減だけでなく社会経済状況の改善が被害の軽減のために重要であることを示した。芝浦工業大学や筑波大学、東京大学、農業・食品産業技術総合研究機構、立命館大学との共同研究。成果は英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジに掲載された。
日刊工業新聞2019年10月4日

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