花粉症薬を保険適用外に…健保連の政策提言に歓迎する声、懸念する声

今秋から診療報酬をめぐる議論が本格化

 市販品で代用できる花粉症治療薬は公的医療保険の適用外にするべき―。2020年度の診療報酬改定に向け、健康保険組合連合会(健保連)がとりまとめた政策提言が注目されている。公的医療保険からの適用除外は医療費削減に直結する一方、全額自己負担になると薬代がかさむなどといった否定的な意見も出ている。(文=小野里裕一)

 「国民皆保険維持のために、見直しは必要だ」。健保連の幸野庄司理事は厚生労働省で会見し、語気を強めた。医療費は今や年間40兆円を超え、企業健保の財政を圧迫している。幸野理事は「財政が厳しくなれば保険料は上がる」と訴え、医療機関が処方する花粉症治療薬を公的医療保険の対象から外し、自己負担とする必要があると主張した。

 花粉症治療薬は近年、医療機関で処方される治療薬と同等成分を有する久光製薬の「アレグラ」やエスエス製薬の「アレジオン」などが市販薬として発売された。健保連によると、医療機関が処方する花粉症治療薬から市販薬に代替が進めば、最大で年間約600億円の医療費削減効果があるという。

 幸野理事はさらに白血病とリンパ腫の治療薬で、3349万円の薬価となったキメラ抗原受容体T細胞(CAR―T細胞)療法「キムリア」にも触れ、高額薬剤の財源を捻出するためにも、花粉症治療薬を公的医療保険の対象外とする必要があると強調した。

 健保連の政策提言には、「顧客が拡大する」(ドラッグストア関係者)と歓迎する声が上がる一方で、否定的な指摘も相次いでいる。花粉症は国内でも罹患(りかん)率の高い疾患の一つで、公的医療保険の適用外で家計負担の増加を懸念する声が多い。また、花粉症患者が医療機関に来なくなることで、症状を自己判断してしまうことが多くなるとの指摘もある。

 高齢化の進展などで医療費は増大しており、健保組合の財政悪化の要因となっている。この状態が続けば加入する会社員の保険料負担はさらに増加することが予想され、医療費の抑制は急務だ。健保連は、政策提言を厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)で提起する方針で、今秋から診療報酬をめぐる議論が本格化する。

日刊工業新聞2019年9月3日

  

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