トヨタが五輪“専門室” 電機各社はリオ商戦のラストスパート

トヨタ、約10人体制でこれからロングラン

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上段はトヨタの豊田社長とバッハIOC会長。下段はサンパウロで開かれた「SET EXPO」とパナソニックの冷蔵庫工場
 トヨタ自動車は31日、五輪の最高位スポンサーとしての推進体制を整備するため9月1日付で「BRオリンピック・パラリンピック室」を新設すると発表した。約10人体制でスタートし、早川茂取締役専務役員が統括、北田真治常務役員が統括と室長を兼務する。2020年に開かれる東京五輪を活動の中心に据え、ブランド力の向上などにつなげる。

 トヨタは3月に国際オリンピック委員会(IOC)と五輪の最高位スポンサー契約の「TOPパートナー契約」を結んだ。契約期間は15―24年の10年間で、乗用車などを五輪大会へ優先的に供給するほか、五輪マークを営業活動で使用する権利もある。新組織名のBRはビジネスリフォームの略で特定テーマの部署につけられる。

 トヨタの組織数(部組織)は230部となる。豊田章男社長は3月発足の経済界による五輪支援組織「オリンピック・パラリンピック等経済界協議会」の会長も務めている。

「終わっているはずの五輪商戦はまだ終わっていない」


 2016年8月5日にブラジル・リオデジャネイロで開幕のオリンピック・パラリンピック(リオ五輪)まで1年をきった。現地では競技場や交通網の整備が進み、7月から各競技のテストイベントも始まった。遅れが懸念されるインフラについてリオ五輪組織委員会は「計画通りに進んでいる」とするが、経済低迷に政界汚職問題が重なり「政府の発注が先送りされている」(関係者)との声がもれる。ただ、日系電機メーカーは「本来は終わっているはずの五輪商戦がまだ終わっていない」(榎戸康二パナソニック常務)と、残る案件の受注にラストスパートをかける。
 
 8月下旬にサンパウロ市で開かれた中南米最大級の放送機器展「SET EXPO」。日本からは放送用カメラなどで高シェアを占めているパナソニックや、ソニーなどが参加した。

 リオ五輪は昨今の流れ同様、五輪後の費用負担軽減のため、スタジアムなどでは仮設設備の採用が多く、五輪トップスポンサーのパナソニックに有利。同社は規模を明らかにしていないが、主要会場のAV機器やリオ市内のセキュリティー機器などで受注を多数獲得して、国際オリンピック委員会(IOC)下部組織向けの放送関連機器も受注したようだ。

 18年のアナログ放送停波も見据え「4K」対応の新型カメラ

 SETエキスポではリオ五輪後やブラジルの18年のアナログ放送停波も見据え、放送業務用でフルハイビジョン(FHD)の4倍の解像度を持つ「4K」対応の新型カメラや、映像編集を効率化するクラウド技術などを来場した中南米の放送局にアピールした。

 ソニーはブラジルで、サッカーワールドカップ(W杯)に続いて五輪でも使われるミネイロン競技場(ベロオリゾンテ市)へ約350台のセキュリティーカメラを納めるなどの実績を持つ。リオに向け、4K放送用カメラと中継車をつなぐケーブル量や、敷設コストが抑制できる4K映像制作機器の受注に注力中だ。SETエキスポではW杯で高評価の4K放送用カメラのほか、スポーツライブ撮影に適した4Kシステムカメラなど4K関連のラインアップを充実して、訴求した。
 
 映像放送関連以外でも日本の電機メーカーは活躍する。リオとサンパウロの鉄道が輸送力向上を狙い投入した新型車両には、三菱電機のモーターや補助電源装置、車両情報装置などの電機品が採用された。7月には柵山正樹三菱電機社長が現地を訪れ、重点市場と位置づけるブラジルでの昇降機事業拡大戦略も示している。

 20年の東京五輪も見据え、日系電機メーカーはリオ五輪に熱視線を送る。ただ、リオ五輪は、もともと前回のロンドン五輪よりインフラ整備費を含む五輪費用総額は圧縮される見込み。加えて、昨今の公共事業の発注先送りで工期が圧迫され、さらに縮小する可能性もある。実際、W杯では一部施設が間に合わなかった。各社はラストスパートをかけるが、思うような成果が刈り取れるかは不透明だ。

日刊工業新聞2015年08月31日/09月01日面

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