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最も解析が遅れている「嗅覚」AI使いデジタル化、何ができる?

阪大産研と大阪産技研、香り・におい解析で協定 嗅覚情報デジタル化
最も解析が遅れている「嗅覚」AI使いデジタル化、何ができる?

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 大阪大学産業科学研究所(産研)と大阪産業技術研究所(ORIST)は27日、人工知能(AI)を活用した香り・におい解析技術の確立を目指す協定を結んだ。4月に産研が設置した「産業科学AIセンター」の活動の一環。両研究所の持つ香り・においの解析技術を融合、発展させた上でAIを導入し、嗅覚情報のデジタル化に取り組む。従来、ヒトの嗅覚に頼っていた香り・においの研究やビジネスを変革し、新しい価値創造を図る。

 嗅覚はヒトの五感で最も解析が遅れているとされる。一方、食品や日用品から住宅、自動車、医療など多くの分野に関わるため、においに関する社会的要請は大きいとみて連携を決めた。

 具体的な活動として「香り・におい・ガスセンシング研究会」を年内に立ち上げ、産官学の連携や情報交換、新規ビジネス創出を図る。2020年1月にはシンポジウムを開く計画で、両研究所の研究発展に加え、大阪・関西の産業の底上げに貢献する。

 同日、大阪市内で会見した菅沼克昭産研所長は「優れた香り・におい関連の技術を持つ企業に我々のAI技術を導入し、世界へ発信できるようにしたい」と意気込んだ。中許昌美ORIST理事長も「これまでにない発想でモノづくりを生かす新たな展開につながる」と期待を述べた。

日刊工業新聞2019年8月28日

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