小池都政4年目、「稼ぐ東京」へ開業率10%の目標ほど遠く

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東京都の小池百合子知事が就任して8月で4年目に
 東京都の小池百合子知事が就任して8月で4年目に入った。小池都政はこれまで創業支援やベンチャー育成など「東京の稼ぐ力」となる新たな産業を生み出す施策に力を注いできた。都市の活力のバロメーターともいえる企業の開業率をみると、18年度の都内開業率は前年度比0・9ポイント減の5%。24年度に10%台という政策目標を掲げており、今後も開業率引き上げに全力を注ぐ構えだ。

 アジアヘッドクオーター特区内に都が誘致した外国企業は金融系分野含めて3月末時点で累計120社。官民で東京市場を国際市場に売り込む金融産業のプロモーション組織「東京国際金融機構」も4月に発足した。都の産業振興施策について、明治大学政治経済学部の奥山雅之准教授に聞いた。

「都市型産業」の役割定義を


 ―3年間の評価は。
 「基盤的な分野は不十分だ。『経済センサス』でみると廃業率は全国平均よりも高い。製造業は00年からの15年間で6万所から2・7万所と半減した。多様な産業集積が競争力の源泉だ。目立つ分野だけでなく、既存の中小企業や製造業をもう少し重視すべきだ」

 ―具体的には。
 「地域の特性を生かした競争力、産業づくりだ。上場企業の半分以上が都内に本社がある強みを生かして、大企業と中小企業の連携によるイノベーション促進施策を打つ。まずは都庁と大企業とのネットワークをつくり、そこに中小企業を巻き込むべきだ。大企業とベンチャーの間では最近は片道切符ではない人材交流の仕組みがある。真ん中にいる既存の中小企業だけ取り残されているのは問題だ」

 ―年内に策定する40年代を見据えた東京都長期ビジョン(仮称)に期待することは。
 「準工業地域にマンションが建つなど製造業の基盤は失われつつある。廃業が増える一方、外資系企業の立地は進まず、開業率も10%に遠く及ばない。このままでは地域は衰退する。都市型産業がどのような役割を果たすのか、徹底的に議論すべきだ。米ニューヨークはデザイン・縫製業の集積が維持されている。次代の東京を見据えるならば、米ポートランドのように東京もソフトとハードを融合させて、持続的な発展に向けた都市型産業の振興施策を打ち出してほしい」

 ―知事に望むことは。
 「側近政治ではなく、日常的にボトムアップの組織作りをし、組織力を生かした行政にしないと政策が空洞化してしまう。職員は現場を見て勉強し、専門家になること。知事や都議会を説得・納得させる、国と伍(ご)していける政策を打って実施してほしい」
                

来年の知事選、自民は対決姿勢


 小池知事は1年後の20年7月30日に任期満了となる。五輪の開幕は同24日。都知事選が7月に実施されると非常に慌ただしいことになる。選考委座長の萩生田光一総務会長は「仮に選挙日を特措法などで大会後にするよう党に要請されても拒否する」と発言し、歩み寄る気配は皆無だ。残り任期1年を切り、五輪・パラリンピックの熱気が立ちこめる都内で静かな対立が続く。

 自民党東京都支部連合会は6月27日に「都知事候補選考委員会」の初会合を党本部で開き、現小池都政を「都民の信頼に値しない」と全委員が一致し、来夏の都知事選は独自候補を擁立すると確認した。

日刊工業新聞2019年7月30日の記事から抜粋

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