音楽祭で国内初の5Gサービス、ソフトバンクに寄せられた体験者たちの要望

電波・基地局状況など分析

  • 0
  • 3
VR空間では、アバターを通して六本木会場の参加者とハイタッチできた
 ソフトバンクは26―28日に苗場スキー場(新潟県湯沢町)で開かれた国内最大級の野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」で、第5世代通信(5G)のプレサービスを提供した。一般客が音楽イベントで5Gプレサービスを体験できるのは国内初。多数の来場客が移動する中での5G電波の状況、5Gに初めて触れた来場客の反応などを2020年春の5G商用化に生かす。

広大環境で実証


 「従来の実証実験はエリアが限定されていたが、大人数が集まる広大な環境下でデータを集められた」。ソフトバンク5G戦略課の堀川学課長は今回のプレサービスの意義をこう説明する。

 会場内の3エリアに配置した計8台のカメラの映像を光回線で5Gスマートフォンに伝送。周波数帯3・7ギガヘルツ帯(ギガは10億)の5G網により5G基地局につなぎ、インターネット経由で来場客のスマホに配信し、混雑状況を確認できるようにした。

最適な高さ


 5Gは高精細な映像や音声を遅延なく伝送できる半面、高周波数帯のため、電波の直進性が高く減衰しやすい。建物などの遮蔽(しゃへい)物があると電波が届きにくくなる。会場は山間部で木々が多く高低差もあり、多数の来場客が移動している。この環境下で5G電波がどのような影響を与えたのか、基地局のアンテナの最適な高さは何メートルなのかを知るデータ収集の場になった。

 一方、来場客にとっては5Gに初めて触れる機会になった。会場内に設置したソフトバンクブースには、ライブ映像を5G網により会場内ブースに設置した仮想現実(VR)ヘッドセットで視聴できるコーナーを設けた。

 動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信されたライブ映像を5G基地局から5G網でブース内の5Gスマホに伝送。Wi―Fi(ワイファイ)経由でVRヘッドセットに配信した。ヘッドセット装着者は、ライブ会場をコンピューターグラフィックス(CG)で再現したVR空間内にアバター(分身)となって入場。フジロック会場の装着者5人と東京・六本木のイベント会場にいる装着者5人の計10人が、VR空間内でリアルタイムに会話したり、コントローラーでアバターを動かして手を振ったりした。

一緒に観戦


 超高速大容量、超低遅延、同時多数接続が売りの5Gを使えば、例えば東京都と札幌市、福岡市の自宅にいる友人たちがVR空間に集合してリアルタイムに会話をしながら、迫力あるVR映像を一緒に観戦できるサービスが可能になる。

 ただ、装着者からは「数百人でVR空間を共有できれば、もっと盛り上がる」「ヘッドセットが重く長時間の装着はつらい」「より高品質な映像や音質にしてほしい」との声が聞かれた。5Gの性能を最大限引き出す装置、より使いやすい電子機器を開発するメーカーとの連携も商用化に向けた通信各社の課題となる。
(取材・水嶋真人)

日刊工業新聞2019年7月30日

関連する記事はこちら

特集