ニュースイッチ

中小企業の景況感は?経営者の生の声、声、声・・

9月に上昇見込むも、中国経済の減速が大きなリスクに

アベノミクスの「賞味期限切れ」なのか?


 中部製作所・大野正博社長(名古屋市熱田区、ネジ製造)
 世間は好景気というが、春先から受注減が続く。リーマン・ショック前に似て嫌な感じ。株安の行方は様子を見る必要があるが、先行きを不安に思っている。
 
 大見工業・大見満宏社長(愛知県安城市、工具製造)
 株価変動は一時的なものだと思う。自社の業績への影響ないだろう。今後の動向を右往左往せずに見守るしかないが、17年4月の消費増税は先延ばしにするなど柔軟に対応すべきだ。
 
 みつわポンプ製作所・小林幹生社長(三重県東員町、産業用ポンプ製造)
 中小企業にすぐ影響が及ぶとは考えていない。ただ、順調だった大企業の設備投資意欲の失速が懸念される。政府は企業の進むべき方向性を明確に示してほしい。
 
 大峰化学・大西康弘社長(大阪府門真市、プラスチック部品製造)
 中国向けのプラスチック部品製造は、業界全体では現地生産が主流。中国経済の減退で市場規模の縮小は避けられない。取引先メーカーは中国から東南アジアへ拠点をシフトし始めており、この流れが加速するだろう。
 
 カツロン・石川明一社長(大阪府東大阪市、樹脂成形)
 一時的な調整だと受け止めている。顧客の仕事は割と堅調に推移している。かといって当社がすごく繁忙なわけではなく、原料ナフサも下げている。リーマン・ショック前のバブル感とは違う。
 
 フロントクロス・木下久義社長(大阪府東大阪市、接着剤開発販売)
 中国市場の抱える課題が今回の調整局面になり表れたように思う。株価よりも為替がポイントで、当面1ドル=110円を予測。米国は想定内の調整、日本の中小には影響は少ないと見ている。
 
 カコテクノス・加古泰三社長(神戸市須磨区、制御装置設計・製造)
 当社がメーンで製造する鉄道車両用制御装置などは、3―6カ月前の受注を受けて生産しているので15年11月期決算への影響はない。ただ中国経済の影響は懸念しており、動向を注視したい。
 
 柏木鉄工・柏木淳司社長(和歌山市、機械加工・機械組み立て)
 株価下落の影響を直接受けることはない。我々は今できる仕事を積み上げて成果を大きくしていくだけだ。希望的観測かもしれないが、株価がこのまま下がり続けるとは思わないし、一つの調整局面だと捉えている。
 
 フクトクダイヤ・河内恭治社長(広島県廿日市市、加工機・検査機製造販売)
 客先には自動車業界が多く、中国市場での設備投資向けにもらっている注文もある。今回の株安の要因では、やはり中国での景気減速が大きいと思う。現地で減速が続けば、注文が後ずれする懸念が強くなる。天津爆発事故の影響も心配だ。
 
 中村建設・中村廣義社長(山口県宇部市、土木・水処理装置製造)
 資源大国の中国はかじ取りさえ間違わなければ安定する。株価は2万円に戻る。悲観せず、アジアを一つの市場とみて日本経済を発展させるべきだ。
 
 アイム電機工業・小野隆二郎社長(北九州市八幡西区、水中ポンプ製造)
 輸出増を計画しており、円安の追い風を期待したい。株価下落は一時的なものでやがて日経平均株価は2万円に戻るだろう。極端な変化は困るので、国には安定した成長を望む。
 
 田口電機工業・田口英信社長(佐賀県基山町、メッキ加工・金属表面処理)
 世界同時株安は折々である。影響は一時的で日経平均株価は今後1万8000円から2万円で推移するだろう。中国は外交、経済の両面で責任ある国として期待したい。
日刊工業新聞8月27日付総合4面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
今回の株安でアベノミクスの「賞味期限切れ」さえささやかれる中、地方企業や中小企業の景況感がこのまま回復しなければ、アベノミクスの恩恵どころか波及しないまま終わってしまう事態が懸念されます。

編集部のおすすめ