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注目の“リアルテックファンド”が投資先第1号に選んだ企業

ソーラーパネル清掃ロボットの未来機械は「闘うメイカーズ」だった
注目の“リアルテックファンド”が投資先第1号に選んだ企業

左上は未来機械の三宅社長、右上はファンドを取り仕切るユーグレナの永田氏


「技術は大学にある。工場以外で動かすサービスロボットの市場を作りたい」


日刊工業新聞2013年5月15日「闘うメイカーズ」より


 香川大学発ベンチャーで高松市に開発・製造拠点を置く未来機械(岡山県倉敷市)は2004年3月に設立された。起業した三宅徹社長は「ロボットの魅力に魅せられた」1人だ。

 三宅社長は99年4月、香川大学工学部知能機械システム工学科に入学した。家業は木で折り箱を作る会社を経営しており、会社の製造ラインに導入されたロボットを見たときに興味をもった。大学でロボットコンテストに参加することを目標にしつつ、「実家が会社を経営していることもあり、自分もサラリーマンではなく起業したいと大学に入学した」(三宅社長)。

 起業を前進させたのが01年3月に開催された「NHK RobocoN 2001大学世界大会」で、アイデア賞・ベストパフォーマンス賞を受賞したことだ。

 大学4年の時には、吸盤で張り付いた状態から窓ガラス上を滑りながら窓清掃する「Wall Walker」を開発。そして運命を変えたのは大学院在学の時。会社設立後の05年6月、愛・地球博(愛知万博)に窓清掃ロボットを出展し、ある大手企業の開発者から「太陽光パネル清掃ロボットを開発してほしい」と提案を受けた。

 太陽光清掃ロボットの市場を研究し、12年には実証実験に成功。13年3月に水を使わずパネル上を自走し、砂ぼこりなどを掃く太陽光パネル清掃ロボットを開発した。

 タイヤ3輪と清掃用ブラシが2本と四つのセンサーが付き、重量は11キログラムと持ち運びが容易。1台200万円以下の販売価格を目標に、中東や北アフリカなど砂漠地帯向けに販売を目指す。三宅社長は「現在、市場は日本の100分の1程度だが今後、大きく伸びる」と見ており、既に多くの引き合いが来ている。

 同社の強みは電子回路の設計、プログラム開発、機械設計を社内で完結して出来る体制を整えていることだ。大学発ベンチャー(VB)は企業数で1000社を超える。株式公開企業も約30社と成果を上げている半面、休眠状態や研究開発段階から抜け出せない企業も多い。

 三宅社長は「大学発ベンチャーが成功するには、大学発のハイテク技術の強みを発揮できる有望市場を開拓しないといけない。技術的に難しいと事業化するまでの時間や資金面で困難が生じる。市場規模が大きくないのに時間をかけすぎるのもだめで、バランスを考えることだ」と強調する。
 
 製造業では産業用ロボットが幅広く使われてきたが、「技術は大学にある。大学発ベンチャーとして、工場以外で動かすサービスロボットの市場を作りたい」(三宅社長)と意気込む。将来は「役に立ち、見ていてワクワクどきどきするロボットを作ることが夢」(同)ときっぱり語る。
(文=斉藤伸介)
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
永田氏は「日本の大学では日本らいしい研究をしているが、とにかく大学から出ない。だから民間化されない。IT系のベンチャーで成功した経営者の顔は何人も浮かぶが、研究者出身でいない。そこを変えていくためにロールモデルを見せていく」と話す。今後もリアルテックファンドの投資先に注目

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