「2020年問題」解消?都心オフィスの需要が多様化

2次空室の消化も活発

 東京都心のオフィスビルで、供給が需要を上回ると警戒されてきた「2020年問題」が解消しつつある。足元のオフィス空室率は、バブル期を下回る水準で推移。東急不動産や森ビルでは1%を割り、他の不動産大手も1―2%を付ける。20年以降に完成する物件の前倒し契約や、既存ビルで生じる「2次空室」の消化も活発だ。背景にあるのはITなど企業の多様化と、働き方の変化を受けたニーズの広がりだ。

 東急不動産や東京急行電鉄が「100年に1度」という再開発を手がける東京・渋谷。ここに集まるIT企業は近年、オフィステナントとして存在感を高めている。ただ渋谷は商業施設に比べ大型オフィスの不足が長年の課題とされており、関係者は「せっかく渋谷で産声を上げても、急成長で手狭になったオフィスを手放す彼らをつなぎ留める手がなかった」と振り返る。

 それが、ここ数年内に「渋谷ストリーム」や「渋谷スクランブルスクエア」「渋谷フクラス」と大型オフィスが続々と誕生することになり「風向きが変わった」(同)。特に19年に六本木から9年ぶりに渋谷への“回帰”を決めたグーグル日本法人の影響は大きく、「渋谷駅周辺では、IT企業を中心に空室率が押し下げられる効果が出ている」(同)と手応えを示す。

 「働きやすいオフィス環境の追求」も、空室率の消化をけん引している。人口減少に直面する中、企業は軒並み労働生産性の改善に重きを置く。対応策の一つに挙げるのが、通勤時間の短縮や業務効率の向上だ。場所や時間にとらわれない働き方を実現するために、移転や増床でフリーアドレスやカフェスペース、さらにオフィス外で仕事をする空間を整備する例が目立つ。

 この流れを受け、コワーキングスペースも急速に普及。国内では米ウィーワークが成功を収めた18年以降に、好立地の大型ビルにシェアオフィスを置くビジネスが確立。不動産サービス大手の米JLLは「競争力が弱いビルを仕方なく活用するという発想はなくなった」と分析する。三井不動産や東京建物、森ビルなどが、自社の旗艦ビルで運営するケースも増えている。

  

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