業界の今後占う試金石、TBSラジオが進める“人体実験”の中身

番組編成へリスナーをみえる化

 TBSラジオ(東京都港区、三村孝成社長、03・3746・1111)は、自局のラジオ番組を聴取する「リスナー」の“見える化”に乗り出した。同社は、インターネットラジオ「radiko(ラジコ)」の視聴データを基にリスナーの増減などが1分単位でわかるシステムを開発。局内複数箇所に設置したモニター上に表示している。これまで見えにくかったリスナー像を鮮明にして、番組編成に役立てる狙いだ。(大城蕗子)

 「人体実験のような試みだ」。TBSラジオの萩原慶太郎インターネット事業推進部長は、こう力を込める。同社は電通と連携し、スマートフォンでラジコを聴取するリスナー数の推移や男女比、年齢層などを可視化する「リスナーファインダー」を開発。1月に運用を始めた。

 同社を含めた多くのラジオ局はこれまで、ビデオリサーチが2カ月に一度実施する1週間分の調査結果のみを聴取率の指標としていた。そんな中、ラジコの登場によりスマホでラジオを聴くリスナーが増加。そのデータを取得できる状況下で「これを活用しない手はない」(同)と判断し、電通との共同開発に乗り出した。現在ビデオリサーチの調査にラジコの聴取データを加えた二つの指標を比較し、番組作りに生かしている。リスナー像がより明確になり、自局内でも「番組に取り組む意識が変化しつつある」(萩原部長)と実感する。

 次のステップとして営業活動への利用を見据える。現在は番組制作に限定した活用だが、社内運用を進め信頼性を高めた上で、広告などのビジネスに生かすことも検討する。

 ラジオ業界の先行きは明るくない。電通によると、2018年のラジオ広告費は前年比12億円減の1278億円。こうした中、TBSラジオの取り組みは、業界の今後を占う試金石となりそうだ。

日刊工業新聞2019年7月18日

  

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