北海道電と石狩市の「再生エネで地域連携協定」が画期的な理由

日刊工業新聞2019年6月27日
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- 江原央樹
- 日本能率協会コンサルティング
2016年のパリ協定発効に伴い、全世界の電力消費の3分の2が企業活動によるものという認識の下、ロンドンを起点に活動する国際的NPOのThe Climate GroupとCDPによって運営されるRE100(2050年までに企業の自然エネルギー100%利用を推進する国際ビジネスイニシアティブ)に参加する企業が欧米を中心に増加している。日本でも、2019年5月9日時点の情報として19社が参加を表明している。持続可能な社会実現には、災害の激甚化や食料の自給へ多大な影響を及ぼしつつある気候変動への対策は不可欠であり待ったなしの状況であるとの認識が世界的に拡がり、また、気候変動が企業活動そのものへのリスクとして捉えられ始めていることがその一因である。今後、日本国内においても再生可能エネルギーを事業活動に活用しようとする企業は増加することが予想されるが、国土の狭い日本において、企業の生産活動を満たすだけの豊富な再生可能エネルギーを調達できる地域は、今のところ限定的であり、石狩市と北海道電力の取り組みは画期的である。港湾だけではなく、中山間地に立地する全国の工業団地の遊休地の活用では、風力に加えバイオマス、水力、太陽光などの利用も可能であり本取り組みの考え方は参考になるであろう。