近くの飲食店が「社員食堂」になる日

社食シェアリングサービス、じわり拡大中

 togo(トゥーゴー)は、社食シェアリングサービス「green(グリーン)」を手がける。グリーンを利用する企業の社員は、近くの飲食店を社員食堂として利用できる。企業は社員の福利厚生施策として活用し、飲食店は安定した収益を確保できる。田中勇樹社長は「従業員満足度の向上や企業の健康経営などヒューマンリソース(HR)のツールとして認知度を高めたい」と意気込む。

 グリーンの事業はBツーBツーC(企業間対消費者)。トゥーゴーと企業が契約し、企業に勤める社員がスマートフォンのアプリケーション(応用ソフト)をダウンロードして、周辺の飲食店で利用する。賃貸オフィスのため食堂を用意できず、社員に食事補助を支払う企業で導入が進む。企業は数億円のコストがかかる社員食堂を設置する必要がなく、飲食店も安定した収益の確保につながる。企業の社員はグリーンのスマホアプリを見せるだけで500円程度の低価格で食事を取れる。

 田中社長は「ランチは社内より社外に出た方が、生産性が向上するとのデータもある。飲食店もユーザーも企業もうれしい“三方良し”を実現したい」と話す。企業は月額課金制でグリーンの利用料を支払い、飲食店もグリーンで得た売価の数%をトゥーゴーに支払う仕組み。2月にサービスを開始し、3カ月で累計1万食を提供した。導入する企業数は30社、渋谷区内の140店舗で利用できる。

 幼少期、実家の隣に住み、飲食店を経営する父親の知人に憧れた。大学時代には友人と飲食店を立ち上げ7店舗まで拡大したが、その後行き詰まり店舗を売却。ベンチャー企業に就職した。ベンチャーでは多忙で同期とも交流を持てない状態になったが、会社が金額の一部を負担するランチを採用し、社内のコミュニケーションが拡大。「食の可能性をあらためて感じた」(田中社長)ため、トゥーゴーを起業した。

 今後は提携する飲食店と健康を重視した限定メニューを作成し、HR分野を強化する。企業にもランチだけでなく、内定者や採用者を歓迎する「採用飲み」や「部署飲み」などディナーの利用を促す施策を展開する。現在はグリーンの利用画面をタップして現金を支払う仕組みだが、スマホで決済できるようICカードや2次元コードとのひも付けも進める。目指すは都内全域への拡大。田中社長は「月間5万食を届けたい」と力を込める。

<関連記事>
スターバックスが創り出した「脚のないテーブル」の秘密

日刊工業新聞2019年7月15 日に記事に加筆

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。