ダイハツ生産担当役員に直撃、「20」の新型車投入で工場はどう変わる?

岸本吉史取締役インタビュー

 ―9日全面改良して発売した軽自動車「タント」は、独自の設計思想「DNGA」で初めて開発した車です。DNGAで設備投資を3割、車1台の生産コストを1割減らすとのことですが、取り組みを教えてください。
 「従来は新車種を出す度に、部分的に新たな専用ラインを作っていた。今回は軽からBセグメントの小さいサイズまでの全車種を同じ設備で生産できるよう汎用化した。これまでの取り組みを滋賀工場(滋賀県竜王町)で進化させた形だ。設計段階から製造で必要となる基準を統一し、金型以外は極力、共通して使えるようにした。異なる車種でも生産工数が変わらず、無駄が少ない。工場内物流も細かい自動化の仕組みや内製する自動台車などを使い、できるだけモノを運ばなくして、無駄を省いた」

 ―今秋にDNGA第2弾の新型車も滋賀で生産を始めます。2019年の生産見通しは。
 「トヨタ自動車グループと同様に国内は微増の見通しだ。DNGAで2車種を投入した後なので、当然、前年比より増やしたい。海外もインドネシアで生産するスポーツ多目的車(SUV)『ラッシュ/テリオス』が好調で、生産増を期待できる」

 ―インドネシアとマレーシアの工場は稼働率が上がっています。
 「インドネシアはほぼフル稼働だ。トヨタと相談しながら今後の対応を決める。マレーシアは2工場に1本ずつ生産ラインがある。うち14年稼働の『プロドゥア・グローバル・マニュファクチャリング』には、多少余力があるので工場間で負荷の調整を考える」

 ―トヨタグループで新興国と小型車の事業を担当し、25年にはダイハツ開発車を18年生産実績比75万台増の250万台にする計画です。能力増強はどう進めますか。
 「トヨタの各生産拠点の負荷バランスを見ながら、一番効率のいい生産地を考えたい。トヨタの海外拠点で生産する車両も当然出てくるだろう」

 ―DNGAに基づく車両の海外展開は。
 「既存の海外工場でも生産できる。できれば20年に始めたい。DNGAは複数車種を一括企画しており、部品共用化率は75%以上ある。同じ部品が使えれば開発期間も短くなるため、従来よりも進めやすい」

 ―新興国は賃金上昇も課題です。
 「特にインドネシアの賃金上昇が激しい。人手中心の生産は、近い内に考え方を変える必要があるかもしれない。効率的に自動化する方法などは検討を始めている」

【記者の目】
 25年に250万台の目標に向けて今後、20の新型車を投入する計画。すべてDNGAで開発、生産することになる。特に注目されるのはその海外展開。トヨタの新興国・小型車戦略のパートナーとしての地位を固めるには、新興国で成果を出すことが不可欠。20年内にもインドネシアやマレーシアで具体的な動きが始まりそうだ。
(大阪支社・錦織承平)
岸本吉史氏


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日刊工業新聞2019年7月12日

  

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